ショッパー・マーケティング研究会

前年度(2018年度) 研究報告の一部サマリー

売場施策のトレンドや効果的な取り組みの解説

チェーンによる新規出店や、既存店を大幅リニューアルするタイミングでは、「変化への対応」に向けた、売場づくりの新しいアプローチが顕在化します。
研究報告会では、各チェーンの注目新店にスポットを当て、売場づくりの重要な変化や、その背景にある戦略を定期的に解説しています。また効果のあった販促事例についても取り上げます。

「人手不足の売場」における販売工夫

 多くのチェーンで人手不足が慢性化しており、売場作りでも省人化対応が迫られている。こうした中、メーカーが提供する「販売台」を活用する動きが店舗現場で広がっている。商品補充の手間がかからないほか、来店客の立寄が多いゾーンに販売台を移設することで機動的に「売場化」できる点が、支持されている。
 このほか、“ 単品の大量販売” への関心も高まっている。補充作業の軽減できるほか、利用客が店舗の「お勧め」と受け止めてくれることもあり、効率化と販売強化の両面で、その効果が見直されている。
※前年度(2018年度)の研究報告より一部抜粋

移動スーパーにみる、高齢者の“買い物インサイト”

 高齢化が進む地方や郊外では、移動スーパー(とくし丸など)での、販売を試行する動きがチェーン間で広がっている。移動スーパーの利用客は70~80 歳代の高齢者が中心で、その利用状況に着目すると、高齢者の“ 買い物インサイト“ が少なからず読み取れる。たとえばアイテム選択ではロングセラー商品が強く好まれ、「ボンタンアメ」などの昔懐かしい商品が販売上位に多く顔を出す。また販売ドライバーとのちょっとした会話・やりとりを楽しみに移動スーパーを利用している高齢者も多く、高齢者へのマーケティングを考える上で示唆に富む。
※前年度(2018年度)の研究報告より一部抜粋

心理作用「プライミング効果」を促す

 消費者心理に基づくプロモーションは、売場でも有効に働くことが多い。中でも活用余地が大きいのが、イメージの連想を誘う「プライミング効果※」と呼ばれる心理作用。たとえば、整腸効果を謳うあるトクホ商品で、容器デザインをピンク色基調に大幅刷新したところ、足踏みしていた販売が大きく伸びた。ピンク色のデザインは便秘薬によく使われていることから、新デザインが「便通改善に良さそう」というイメージを促すことに奏功した。

※人は「ある情報」に接触すると、それに関連した事柄を連想したり、思い出す習性を備える。たとえば人に「オセロの駒」を見せたあと、思いつく動物の名前を挙げてもらうと、パンダやペンギンなど白黒模様の動物が想起されやすくなる。こうした一連のプロセスを「プライミング効果」と呼ぶ。
※前年度(2018年度)の研究報告より一部抜粋

ショッパー・マーケティング研究会では小売各社の取材協力を得ながら、有力チェーンの新店や好調店舗への取材・ヒアリングを進めています。
※SMやCVS、DGSを中心に約35チェーンに協力いただきました(前年度実績)。

優れた販売、マーケティング活動を推進した実務家による事例報告

販売・マーケティングの優れた取り組みにスポットを当て、それを推進した実務家を招き、その取り組み内容を報告いただいています。

レビュー① 大手SMのサミットによるケース報告

竹野浩樹社長が2016年に経営トップに就任以降、業績が好調に推移するサミット。顧客に向き合おうとする経営スローガンの下、従業員の意識改革が進み、各店舗で魅せる工夫や自発的な演出が活発化している様子が報告されました。

レビュー② イオンのシニア対応チームによる報告

イオンリテールでは近年、シニア需要への対応を強化しています。シニア対応を企画する専門チーム(イオンスタイルGGストア推進部)に登壇頂き、高齢者の買い物利用の特徴やニーズ、イオンの店舗におけるシニア対応の取り組みについてお話しいただきました。

ショッパーの買い物意識にまつわる、注視したいトレンドの報告

研究協力チェーンのID-POSデータや消費関連データ、および研究会で毎年実施するショッパーの買い物意識調査などを用い、ショッパーの購買傾向や、買い物意識に関する重要トレンドを報告しています。

日常の買い物先として浸透するドラッグストア

地方・郊外を中心に大手ドラッグストアチェーンによる出店攻勢が続いている。昨今のDGSは食品強化が標準化しており、食品の購入先として身近になっている。地域別に見ると、地方ほどDGSでの食品支出の割合が多く、買い物先として存在感を発揮している(図表1)。
※ 2018年9月度の研究報告会での報告記述より一部抜粋。

“チラシ参考派” が減少。売場での「わかりやすい販促」が重要に

日常の買い物において「チラシを参考にする」というタイプが年々減少し、足元では女性全体の1/4 程度にとどまる。新聞の購読減のほか、働く女性が増えていることも背景にある。働く女性は買い物に行ける時間が制約を受けやすいため、チラシ特売に対応しづらい面がある。こうした一方、売場での〇〇円均一セール、カテゴリー割引といった、直観的にわかりやすい販促に反応しすい傾向も読み取れる。
※ 研究会で毎年実施する買い物調査「消費者の業態・店舗選択に関する調査」の結果報告より一部抜粋。

消費増税による買い物行動への影響予測

2019年10月に消費税率が引き上がります。過去の消費増税では「駆け込み需要」と「反動減」が顕在化するなど、一定のパターンが読み取れる。こうした中、2014年の増税時を振り返ると、とくに高齢層による駆け込み購入が各カテゴリーで目立った(図表2)。収入源が限られる中、生活防衛色を強めたと見られる。 今回の消費増税では軽減税率の適用や、中小店でのキャッシュレス決済で5%分のポイント還元を受けられることから、新たな影響も想定されます。
※ 2019年1月度の研究報告会での報告記述より一部抜粋。
2019年度研究会でも消費増税の前後に想定される消費行動について定期的に報告します。

前年度(2018年度)に実施した研究報告プログラムの概要

店舗取材や調査などでSM やCVS、DGS を中心に約35チェーンに研究協力いただきました。

第1回 2018年6月

  • ヤオコーの事業ベクトルと経営意識
    報告者:流通経済研究所
  • チェーンの店舗戦略とショッパーの買い物行動をめぐる重要ポイント
    報告者:流通経済研究所
  • 最近の経済情勢と2018年度の景気展望
    報告者:日本銀行 調査統計局 調査主幹
  • イオンリテールの販売活性化に向けた営業· マーケティングの取り組み
    報告者:イオンリテール株式会社 マーケティング部

第2回 2018年7月

  • 買い物アプリの展望と課題
    報告者:流通経済研究所
  • コンビニの店舗現場に見る利用の傾向・変化と営業課題
    報告者:コンビニ大手チェーンのオーナー
  • 改革を推進するサミットが取り組んでいること
    報告者:サミット株式会社 販売ブロックマネジャー
  • 注目のスマートストア『スーパーセンタートライアル アイランドシティ店』での取り組みと成果・検証
    報告者:株式会社トライアルホールディングス

第3回 2018年9月

  • 「変化への対応」を推進するドンキ ―購買データから見るドンキ利用者層の特徴
    報告者:流通経済研究所
  • 購買関連データに見る、買い物先の実態とトレンド
    報告者:流通経済研究所
  • 東北の大手DGS・薬王堂の営業戦略と注力するアプローチ
    報告者:株式会社 薬王堂 経営企画部
  • 差別化に向けて―フレッセイにおける商品戦略・MD の考え方
    報告者:株式会社フレッセイ 執行役員グロサリー部長

第4回 2018年10月

  • 【現場見学プログラム】移動スーパーの営業や買い物利用に関する動向を理解する
    ※移動スーパー(とくし丸)の営業地域を視察
    報告者:株式会社 いなげや(移動スーパー とくし丸の事業担当)
    報告者:流通経済研究所

第5回 2018年11月

  • イオンの新店に見えるGMS 改革の推進
    報告者:流通経済研究所
  • 消費者心理を踏まえた、売場・販促での望ましい働きかけ方の考察
    報告者:流通経済研究所
  • キリンの商品開発とマーケティング
    報告者:キリンビール株式会社 マーケティング本部
  • ベイシアにおける生産性向上対応 AI・IoT 活用について
    報告者:株式会社ベイシア 流通技術研究所

第6回 2018年12月

  • ドン・キホーテの注目新店に見る売場強化のポイント
    報告者:流通経済研究所
  • 2019年の展望―小売チェーンが直面する経営課題と、解決に向けて取り組んでいること(ケース事例の解説)
    報告者:流通経済研究所
  • 有力ブランドマネジャーに見る、商品ブランドの仕掛け~浸透にかけて注力すること
    報告者:ライオン株式会社 オーラルケア事業部 ブランドマネジャー
  • 流通激戦地の九州で支持を得るSM・ハローデイが取り組んでいること
    報告者:株式会社ハローデイ 営業本部長

第7回 2019年1月

  • 関東での出店が近づくコスモス薬品とその強さ
    報告者:流通経済研究所
  • 消費増税がもたらす買い物行動への影響の考察
    報告者:流通経済研究所
  • アークスの事業戦略と今後の展開
    報告者:株式会社アークス 取締役
  • 2019年 流通と消費の今を読む
    報告者:日本経済新聞社 編集局(流通担当)

第8回 2019年3月

  • 注目の好調新店(2018年にオープンしたSM 3店舗)の分析
    報告者:流通経済研究所
  • 楽天の購買データ等から読み取る、商品・消費トレンドの傾向と今後展望
    報告者:楽天株式会社 マーケットプレイス事業 EC コンサルティング部
  • マツモトキヨシが進めるマーケティング強化の取り組み
    報告者:株式会社マツモトキヨシホールディングス 営業統括本部
  • シニア層に支持を得る売場づくりや品揃えの考察
    報告者:イオンリテール株式会社  GGストア推進担当

■報告各回の冒頭で、売場づくりやチェーン戦略などにまつわる、注目すべき動向・トピックを報告します(15分ほど)。
旬な取り組みをキャッチアップできる機会としてご好評いただいているPRG の一つです。

前年度(2018年度) ショッパー・マーケティング研究会の実績

●大手食品メーカーや酒類・飲料メーカー、卸売業を中心に、計19社にご参画いただきました。
※前年度(2018年度)の研究報告会では1社あたり2~6名(各回)で参加いただきました。
●店舗取材や調査などで、SM、CVS、DGSを中心に約35チェーンに研究協力いただきました。