ISSN 2433-9784(オンライン)
ISSN 0389-7672(冊子版)
「流通情報」は、流通経済研究所の機関誌として1967年に創刊した雑誌です。現在隔月刊で発行しておりますが、流通・マーケティングの専門誌として評価をいただいております。内容は、流通・マーケティング関連の最先端の論文や、当研究所の研究報告、業界動向を流通・マーケティングの視点から抄録したもの等を掲載しています。
隔月刊:年6号発行、A4版 約100頁
年間購読料:30,000円(税込33,000円)[Web誌面閲覧サービス含む]
※2017年1月発行号から最新号までの論文・記事がPDFで読み放題
神谷 渉
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/玉川大学経営学部国際経営学科 教授
コーエン・デ・ヨング(Koen de Jong)
IPLC マネージングパートナー
監訳:神谷 渉(公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/玉川大学 教授)
本稿では、プライベートブランドの進化と、近年の欧州における小売戦略を概観した。かつて価格競争の手段として活用されたプライベートブランドは、品質や独自性を重視し、消費者の信頼を獲得した。背景には、消費者の購買行動や小売業の戦略の変化がある。パンデミックなどを経てディスカウンターが成長したことを契機に、従来の小売業者はプライベートブランドの高付加価値商品を拡充した。AIやソーシャルメディアを活用した商品開発やプロモーションや、サプライヤーとの連携による迅速な消費者ニーズへの対応により、プライベートブランドは差別化の手段として存在感が高まっており、競争力を維持するための戦略的ツールとなっている。
キーワード: プライベートブランド、欧州、発展史、小売業、差別化戦略山﨑 泰弘
公益財団法人流通経済研究所 常務理事
田嶋 元一
公益財団法人流通経済研究所 研究員
昨今の流通環境や消費環境の変化を受けプライベートブランド(PB)に対する注目度が高まっている。小売のPB戦略は消費者ニーズの多様化に応えるために階層化した商品開発・品揃えが行われ、企業・商品ごとに独自のコンセプトを打ち出すようになった。かつては「安価だが質が劣る」と評されていたPBだが、低価格PBにおいても品質面でも信頼性でも消費者に受け入れられている。
物価高と所得の先行きが不透明な環境で、消費者はPBに低価格を求めるが、「価格以上の価値」を実感させることができるPBが、小売業のPB戦略において、ますます重要な位置づけを占めるだろう。
鈴木 岳
公益財団法人生協総合研究所 研究員・編集長
本稿では、生協のプライベートブランド(=コープ商品)に関して記した。まず日本の状況をみると、戦前から戦後期を経て、1960年代からさまざまなコープ商品が開発されたが、各単協で開発したものが徐々に日本生活協同組合連合会へ集約されるという歴史があった。いまでは、コープ商品といえば日本生協連の商品が中心的な存在である。
一方で、全国でのこだわりを持つ生協のプライベートブランド(PB)も無視しえなく、さらには主な地域生協でもいまも自前のコープ商品が開発されている。また国際的にも、コープ商品は早くから開発されて、いまでも有力な生協では重要な位置を占めている。
神谷 渉
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/玉川大学経営学部国際経営学科 教授
西欧の中でもプライベートブランド(PB)大国ともいえる英国では、テスコに代表される上位食品小売業においてすでに定着している高品質なプレミアムラインを強化することでPBの更なる拡大が進展している。また、米国でもウォルマートが高品質のPBラインを新たに展開するなど、同様の動きがある。日本では、定番PBの品質向上が消費者に認知されてきた段階で、今後高付加価値型PBへ強化が模索されることになるだろう。高付加価値型PBにおいては、食品小売業のPBの競合はナショナルブランド(NB)ではなく、レストランなど高付加価値サービスを展開する他業種との競争になっていくことも想定される。PBの進化を捉えるうえで、市場の再定義を行わないと見誤ることになるだろう。
キーワード: プライベートブランド(PB)、高付加価値型プライベートブランド、プレミアムプライベートブランド、テスコ、ウォルマート渡辺 達朗
公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学 商学部 教授
山﨑 万緋
一般社団法人サスティナブルフードチェーン協議会 特任研究員/専修大学 兼任講師
廣田 章光
流通科学大学 商学部 教授/近畿大学デザイン・クリエイティブ研究所
監訳:神谷 渉(公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/玉川大学 教授)
資料情報センター TEL:03-5213-4531(代表) FAX:03-5276-5457