流通大会2020
流通のサステナブル・グロース
~持続可能な成長戦略~

流通大会2020開催レポート

開催日

2020年2月5日(水)・6日(木)・7日(金)

会 場

ベルサール九段(東京都千代田区九段北1-8-10 住友不動産九段ビル)

本レポートは公益財団法人流通経済研究所が作成しています。
講演者の所属・役職は「流通大会2020」当時のものです。

【1日目|2月5日(水)】 令和時代の流通・マーケティングの変革

令和時代を迎え、流通事業者は自社を取り巻く環境変化をビジネスチャンスに変えて、生活者のニーズを的確に捉えた事業革新と、企業価値向上への取り組みが改めて求められています。1日目は消費財流通における今日的な政策の方向性や重要課題を報告し、消費財流通が取り組むべき事業戦略のあり方を提言しました。

ご挨拶と問題提起

公益財団法人流通経済研究所 理事長 青山 繁弘

「流通大会2020」の開会に当たって、ご挨拶と問題提起をいたしました。特に、各小売業態が転換期に差し掛かっており、事業の変革が必要であること、今後の企業経営においては社会的な価値を創出し、提供していくことが求められることを強調いたしました。

公益財団法人流通経済研究所 理事長 青山 繁弘

当面の流通政策について

経済産業省 消費・流通政策課長 伊藤 政道 氏

国内流通の課題について概説いただいた上で、商流のスマート化(商慣習見直し、電子レシート等)、物流のスマート化(電子タグの取り組み等)、金流のスマート化(キャッシュレス化の推進等)に関して、取り組みの現状と今後の展望について解説いただきました。

経済産業省 消費・流通政策課長 伊藤 政道 氏

消費と流通の今を捉え、先を読む2020

公益財団法人流通経済研究所 理事/拓殖大学名誉教授 根本 重之

定量的な将来予測データや注目企業の戦略と動向に関する分析を踏まえながら、2020年代に取り組むべき課題として、若年層の獲得、食の構造変化への対応、生産性の向上、小売業による地域生活のプラットフォーム化などを挙げました。また、2025年の大阪万博などの大規模イベントに注目し、主体的に関わることを提案しました。

公益財団法人流通経済研究所 理事/拓殖大学名誉教授 根本 重之

フィジカルインターネットとヤマトグループの戦略

ヤマトホールディングス株式会社 前会長/
一般社団法人ヤマトグループ総合研究所 理事長 木川 眞 氏

流通・物流事業者が、今日の物流問題をどのように認識するべきか、また、将来に向けて何を考えるべきか、特にフィジカルインターネットの概念やそのインパクトについてご紹介いただきました。物流分野において、標準化、オープン化、グローバル・スタンダード準拠やその策定において、日本がリードすることの重要性についても解説いただきました。

ヤマトホールディングス株式会社 前会長/一般社団法人ヤマトグループ総合研究所 理事長 木川 眞 氏

たくさんの失敗と、ほんの少しの成功

サントリー食品インターナショナル株式会社 代表取締役社長 齋藤 和弘 氏

同社の飲料事業のマーケティングについて、具体的な成功例と失敗例を数多くご紹介いただきました。特に、失敗パターンの分析や、消費者インサイトを探る調査手法とインサイトに基づく広告戦略などを詳しく解説いただくとともに、組織として現場に任せることの重要性を説明いただきました。

サントリー食品インターナショナル株式会社
代表取締役社長 齋藤 和弘 氏

サミットが推進するスーパーマーケットの改革

サミット株式会社 代表取締役社長 竹野 浩樹 氏

2016年の社長就任後に取り組まれた改革をご紹介いただいた上で、2020年以降に生じるであろう大きな変化に対応するためには未来視点を持つことが不可欠であること、「ハイタッチな接客」を更に発展させ、商品・売場・情報発信もすべてハイタッチなものへと変革してお客様との繋がりを強化すること、店舗を起点として新たな価値を創ることなど、今後の展望について説明いただきました。

サミット株式会社 代表取締役社長 竹野 浩樹 氏

【2日目|2月6日(木)】 SDGs・ESGが変える流通

企業経営においてSDGsやESGの視点が重要になる中、流通業が社会の持続可能性と自社の持続的成長を両立するために必要となる、経営環境を捉える視点、注力すべき戦略や取り組みを検討し、今後の流通を展望しました。

流通における持続可能性向上と食品ロスなど廃棄削減の取り組みと展望

公益財団法人流通経済研究所 主任研究員 石川 友博

流通業の経営課題として、①サステナブル経営の実践、②ムーンショット×バックキャスティング+アジャイル対応、③オープンイノベーション挙げ、背景にあるESG投資とSDGsの概念・インパクトと併せて解説しました。「食品ロス削減推進法」施行で取組が広がる食品ロス削減の最新動向も報告しました。

公益財団法人流通経済研究所 主任研究員 石川 友博

持続可能な社会の実現を目指して ~イオンの挑戦~

イオン株式会社 環境・社会貢献部 部長 鈴木 隆博 氏

グローバルを意識し、かつ多岐に渡るサステナブル貢献活動が報告されました。世界の小売業10社との食品ロス削減プロジェクト「WRI 10×20×30」や国内小売業として初となるリユース容器を用いた買い物の仕組み「Loop」など、サプライヤーも注視すべき取り組みを紹介いただきました。

イオン株式会社 環境・社会貢献部 部長 鈴木 隆博 氏

CGCグループが考えるCSR・CSV

株式会社シジシージャパン 常務取締役 企画本部 本部長 芹澤 政満 氏

CGCグループのサステナブルへの貢献に向けた取り組みとして「スカスカ撲滅運動」や「縦置き陳列」の内容・効果・社会的インパクトを解説いただきました。「協働」、「備災」、「生活在庫」などワーディングの工夫による関係者の目線合わせや、独立した経営を行う企業が「よく集まり、よく話し合う」重要性とその取組状況も紹介いただきました。

株式会社シジシージャパン 常務取締役 企画本部 本部長 芹澤 政満 氏

ESG・SDGsとこれからの企業経営 ~渋沢栄一「論語と算盤」の現代意義~

シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役 CEO/コモンズ投信株式会社取締役会長 渋澤 健 氏

経済・経営・歴史の見識に裏打ちされた知見のもと「見えない未来を信じること」がこれからのビジネスマンに求められるとし、不確実性が増しAIも進化する今後は、相乗効果により飛躍的創造力を発揮しうる人間ならではの『「と」の力』を大事にすべきと提言いただきました。日本の未来は「デジタル世代がスキルを生かし、アフリカと直接つながること」で開けるとの考えも披瀝されました。

シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役 CEO/コモンズ投信株式会社取締役会長 渋澤 健 氏

持続可能な商品戦略と将来展望

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 常務執行役員 グループ商品戦略本部長 石橋 誠一郎 氏

2019年に新設されたグループ商品戦略本部を中心に、SDGsを重視し、グループ横断で持続可能性に貢献し、長期的な企業価値向上ストーリーを描き、実践する方針・目標・具体策をお話いただきました。商品では、セブンプレミアムを、誰もが誇りを持てSDGs・エシカルを象徴するグローバルブランドに育てること、調達や物流では、商慣習見直しや物流のオープン化により、自社が生み出す外部不経済を外部経済に転換していく方針・戦略を説明いただきました。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 常務執行役員 グループ商品戦略本部長 石橋 誠一郎 氏

【3日目|2月7日(金)】 顧客体験の強化を通じた流通革新

現在、消費者と企業や製品ブランドとの接点は、リアル店舗、EC サイト、企業Web サイト、アプリ、SNS など、多岐に渡ります。そこで、様々な接点で顧客体験を創出し顧客の支持を得ている成功事例、小売業におけるデジタル・トランスフォーメーション事例、及びキャッシュレス決済の進展や最新動向についての報告から、顧客体験の強化を通じた流通革新の展望を検討しました。

デジタル化の進展に伴う小売業およびメーカーの顧客体験マーケティング

公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学ビジネススクール教授
中村 博

アメリカのリアル店舗によるアマゾン・エフェクトへの対応事例や、中国におけるニュー・リテールの具体例、日本のリアル店舗が取り組んでいるAI活用などのデジタル化を紹介しました。また、顧客体験強化を図るために、カスタマー・ジャーニーが重視されており、その背景には、リピート購買だけでなく、他者への推奨などへの注目が高まっていることを解説しました。

公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学ビジネススクール教授 中村 博

小売業のデジタル・トランスフォーメーションとその展開

株式会社カスミ 専務取締役 上席執行役員 ロジスティック本部マネジャー ビジネス変革室マネジャー/
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス 株式会社 ICT本部長 山本 慎一郎 氏

従来の「リアルの一部にデジタルの世界がある」という見方から「デジタルがリアルを包み込む世界」という見方に変わっていること、この認識に立ち、OMO(Online Merges with Offline)の考え方でリアルとデジタルをシームレスに繋いで、顧客体験を創出すべきであるとご提言いただきました。また、デジタルツールの活用による組織変革についても解説いただきました。

株式会社カスミ 専務取締役 上席執行役員 ロジスティック本部マネジャー ビジネス変革室マネジャー/
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス 株式会社 ICT本部長 山本 慎一郎 氏

PayPayが推進するキャッシュレス化の取り組みについて

PayPay株式会社 代表取締役 社長執行役員 CEO 中山 一郎 氏

PayPayの事業概要(加盟店数、ユーザー数、決済回数)や、最近スタートした小売業向けの新サービスの概要とねらい、今後の「スーパーアプリ化」に向けた取り組みについてご説明いただきました。また、会場からの多くの質問への回答を通じて、同社の事業について、具体的かつ詳細に説明いただきました。

PayPay株式会社 代表取締役 社長執行役員 CEO 中山 一郎 氏

“無関心な若者”需要を獲得し、市場活性化を推進するNONIOのマーケティング戦略

ライオン株式会社 ヘルス&ホームケア事業本部 ビューティケア事業部長 兼 ブランドマネジャー
柳田 洋顕 氏

オーラルケアに対する関心の低い若年層の支持を獲得するために実践してきた、消費者インサイトに基づく機能価値および生活価値の訴求について紹介いただきました。特に、若者の興味や関心事を踏まえた上で、顧客接点別の広告やメッセージの打ち出し方や、商品ラインナップ拡大時の工夫などについて、詳細にご説明いただきました。また、小売業に対する営業提案のポイントについても解説いただきました。

ライオン株式会社 ヘルス&ホームケア事業本部 ビューティケア事業部長 兼 ブランドマネジャー 柳田 洋顕 氏

ファミマのDX

株式会社ファミリーマート 経営企画本部 デジタル戦略部長 植野 大輔 氏

短期間で開発した自社アプリ「ファミペイ」の開発背景について、関係者が非常に多い状況下でプロジェクトを推進する中で苦労した点や留意した事項などを、詳細にご説明いただきました。また、スタンプ機能を活用したメーカー販促や、回数券機能の実装など、アプリを通じた顧客体験の強化についてご紹介いただきました。

株式会社ファミリーマート 経営企画本部 デジタル戦略部長 植野 大輔 氏

【本件についてのお問い合わせ先】

公益財団法人流通経済研究所「流通大会2020事務局」:渡邊、鈴木、石川、加藤
〒102-0074 東京都千代田区九段南4-8-21 山脇ビル10F
TEL:03-5213-4531(代) FAX:03-5276-5457

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