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機関誌「流通情報」バックナンバー

No.578 | Vol.57 No.5(2026年1月発行)

特集 消費者・顧客のインサイト理解―脳科学の営業・マーケティングへの活用―

特集にあたって

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学大学院 戦略経営研究科 教授

脳科学のマーケティングへの活用―なぜ脳を知る必要があるのか―
The Application of Neuroscience in Marketing: Why Understanding the Brain Matters

萩原 一平
一般社団法人応用脳科学コンソーシアム 理事・事務局長/株式会社NTTデータ経営研究所 フェロー

 

 AI開発と脳科学研究の共進化が始まっている。脳科学の成果が今のAIの進化の基になり、進化を続けるAIが新たな脳科学研究の深化を推進している。AIに適用されたスケーリング則が脳情報にも適用できることが明らかになり、いかに脳情報を中心にした人間の情報を収集、蓄積、解析するかが問われている。AGIと言われる汎用AIの構築、さらにそのビジネス活用には脳科学の知識や脳情報の解析が求められる。新たなAIが出現してから必要なデータを集めていたのでは新しい商品やサービスを市場に提供するのには間に合わない。今からデータをどう集め、どう活用するかを戦略的に考えていく必要がある。

キーワード: 脳科学、生成AI、スケーリング則、モデル、脳情報
ブランドの習慣型購買のメカニズム―認知・トライアル購買・リピート購買・習慣型購買のハビット・モデル
The Mechanism of Habitual Brand Purchase: The Habit Model: Awareness, Trial Purchase, Repeat Purchase, Habitual Purchase

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学大学院 戦略経営研究科 教授

 

 強いブランドは、リピート購買が多いだけではなく、習慣型購買が多いブランドである。習慣型購買を促進するためにはリピート購買を含む単純接触効果を増加させ、強化学習を促進することが重要である。また、ブランドが顧客に訴求する報酬(価値)は機能的価値のみを訴求しても強いブランドはつくれない。顧客の状態(トライアル購買、リピート購買、習慣型購買)によって情緒的価値や生活価値を訴求していくべきである。

キーワード: ブランド価値、習慣型購買、リピート購買、単純接触効果、ハビット・モデル
インタビュー:脳科学を活用したブランド育成・営業戦略

中村 直人
サントリー株式会社 広域営業本部 第2支社長 兼 サントリーホールディングス株式会社 デジタル戦略部 部長/リテールAI推進チーム シニアリーダー

購買時の瞬間ストレスが与えるショッパーの行動変容―ニューロサイエンスのアプローチによる売場改善への示唆―
Behavioral Changes in Shoppers Induced by Momentary Stress at the Point of Purchase:Implications for In-Store Improvement from a Neuroscience Approach

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学大学院 戦略経営研究科 教授

杉本 ゆかり
立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 特任教授

 

 本研究は、購買行動中に生じる瞬間ストレスをEEG(脳波計)により可視化し、ストレスがショッパーの行動変化に与える影響を明らかにするものである。実店舗における購買実験の結果、ストレスは①棚前での迷い、②嗜好品購入後の罪悪感、③レジ待機中の時間損失、において顕著に上昇した。これらは購買行動を一時的に抑制するが、同時に意思決定やブランドスイッチを誘発する行動駆動型ストレスとしても機能していた。本稿は、EEGデータを基に購買時ストレスの神経的構造を明らかにし、ストレスを売場体験の設計要素として活用する新たな方向性を提案する。

キーワード: 購買行動、Situational Stress、瞬間ストレス、ニューロサイエンス、EEG(脳波計)
買物客の視線を学習した生成AIによる売場評価―視線が向かいやすい要素の探索的検討―
Store Environment Evaluation Using a Generative AI Trained on Shoppersʼ Gaze Data—An Exploratory Analysis of Visual Attention—

三坂 昇司
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 

 本稿では、買物客の視線データを学習した生成AI(以下、視線推定AI)を用いて、食品スーパーの売場および商品パッケージにおける視線が向かいやすい部分の特徴を検討した。視線研究の先行知見を整理した上で、複数カテゴリーの売場写真および商品パッケージ写真に対して視線推定を行い、推定結果を解釈した。その結果、アイレベルや中央付近、明度・彩度の高い領域など既存研究と整合的な傾向が確認された一方で、複雑な売場環境においては、売場の奥や陳列量といった要因が視線に影響する可能性も示唆された。これらの結果から、視線推定AIを用いた売場評価の有用性と実務への応用可能性、ならびに企業におけるニューロマーケティングの実務的展開への示唆について考察を行った。

キーワード: 視線推定AI、生成AI、視覚的注意、前注意的処理、売場評価

寄稿論文

アパレル小売業におけるOMO戦略の分析:ユナイテッドアローズ、パルグループ、アンドエスティHDの事例研究
OMO Strategies in Apparel Retail: Case Studies of "United Arrows", "Pal Group", and "and ST HD"

鈴木 雄高
公益財団法人流通経済研究所 特任研究員/市川マーケティング研究所 代表

視点

消費者神経科学の現況と今後の指針

元木 康介
東京大学大学院 経済学研究科 講師

資料紹介

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