石川 友博
公益財団法人流通経済研究所 サステナビリティ部門 部門長/上席研究員
石川 友博
公益財団法人流通経済研究所 サステナビリティ部門 部門長/上席研究員
寺田 奈津美
公益財団法人流通経済研究所 研究員
本稿は、サステナビリティの推進状況についてのアンケート調査(食品製造業124社、食品小売業111社)の分析結果を報告する。両業種に共通して食品ロス削減や環境保全を最優先課題としている一方、食品製造業はサプライチェーン全体の持続可能性確保や国際的な制度整備に重点を置き、食品小売業は消費者や地域社会との信頼関係の強化を重視する傾向を示す。また、人材不足や資金制約は両業種に共通する課題であるが、食品製造業ではデータ整備や業界横断的な協働の不足、食品小売業では日常業務の多忙さと情報発信の効果測定の難しさが特有の課題である。さらに、食品製造業は「構造的・長期的効果」を、食品小売業は「即時的・外部的効果」を中心に成果を認識しており、この差異は業態特性に根差している。
本検討は、食品産業におけるサステナビリティ戦略の立案において、業種ごとの特性を踏まえたアプローチの重要性を示している。バリューチェーン全体での連携強化と成果の可視化が今後の課題である。
寺田 奈津美
公益財団法人流通経済研究所 研究員
本研究は、食品小売業が①なぜPBでサステナブル商品を展開するのか、②展開を促進する条件は何か、③企業や社会への影響は何か、という3つの問いを設定し、日生協、イオン、アクシアルの事例と全国の食品小売業111社へのアンケート調査を通じて検討した。その結果、サステナブル商品をPBとして展開する理由として明らかになったのは、①理念や方針の発信、②ステークホルダーのニーズへの対応・差別化の意図があるという点である。展開を促進する条件としては、主力商品から着手する、「手ごろな価格」「おいしさ・品質」「サステナブル」のバランス、分かりやすいコンセプトと基準の設定などが重要であることが確認された。さらに、サステナブルPBは、企業のサステナビリティと事業活動の融合を実現する手段であり、消費者への環境・社会課題の啓発も担う社会的ツールとなる可能性が示唆された。
キーワード: サステナビリティ、環境配慮、食品小売業、プライベートブランド(PB)、ステークホルダー連携鈴木 一十三
株式会社ローソン 理事執行役員/サステナビリティ推進室 室長
山口 友紀恵
株式会社ローソン サステナビリティ推進室 シニアマネジャー
聞き手 石川 友博
公益財団法人流通経済研究所 サステナビリティ部門 部門長/上席研究員
寺田 奈津美
公益財団法人流通経済研究所 研究員
ローソングループは、サステナビリティへの取り組みにおいて、グループ理念「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」を基盤に、「圧倒的な美味しさ」「人への優しさ」「地球(マチ)への優しさ」の3つの約束を掲げ、社長直轄の推進体制を通じて全社的な浸透を図っている。環境分野では「Lawson Blue Challenge 2050!」の下、CO₂削減・食品ロス削減・プラスチック削減に重点的に取り組んでいる。こうした取り組みの中では、トップによる強いコミットメント、eラーニング研修や表彰制度などを通じた従業員への浸透施策に加え、寄付と連動した値引き施策、アートトイレの設置、小中学生向け教育プログラム、防災ワークショップといった、消費者を巻き込む体験型の仕組みが特徴となっている。同社は今後も挑戦を重ね、サステナビリティ経営の一層の加速を目指している。
キーワード: サステナビリティ経営、環境配慮、食品ロス削減、地域連携、コンビニエンスストア茂木 信太郎
元 信州大学教授/元 亜細亜大学教授 博士(観光学)
「ミシュランガイドは2021年度版から欧米、アジア各国で「ミシュラングリーンスター」の掲載を始め、ゴ・エ・ミヨ(日本)は2017年より「テロワール賞」を表彰して、「持続可能なガストロノミー」の世論喚起に躍起である。他方、エコマーク(飲食店)認証は2017年よりはじまったが、その広がりは一部にとどまっている。そして、大手外食企業は、それぞれサステナビリティ経営に積極的に取り組み、その広報に余念がない状況である。
キーワード: ミシュラングリーンスター、ゴ・エ・ミヨ、エコマーク、すかいらーく、くら寿司船井 隆
公益財団法人流通経済研究所 サステナビリティ部門 研究員
特定技能制度は深刻な労働力不足への対応策として注目されているが、制度の効果を持続的な社会的価値につなげるには、外国人就労者が長期的に活躍できる環境整備と育成支援が不可欠である。特に、在留期間の延長や家族帯同が可能となる2号資格取得を見据えた受入れ施策が重要な鍵を握る。物流業界では外国人トラックドライバーの受入れが始まり、安全性や制度運用の課題も浮上している。こうした状況を踏まえ、制度の持続可能性を高めるには、2号資格を前提とした戦略的な受入れと、人的資本への投資を組み合わせた取り組みが不可欠である。
キーワード: 労働力不足、特定技能制度、外国人トラックドライバー、キャリア形成支援、持続可能性岡 望美
B Corp 認証取得支援コンサルタント
B Corporation(B Corp)は、よりよい社会の実現に向け高い基準を持つ認証制度及びムーブメントである。サステナビリティ経営の教科書でもあり、企業がビジネスを通じて社会課題を解決し、ポジティブなインパクトを生み出すことを目指す。認証プロセスでは、「パーパスとステークホルダーガバナンス」「公正な働き方」「JEDI(公正・公平・多様性・インクルージョン)」「人権」「気候アクション」「環境スチュワードシップと循環性」「協働」の7つの必須項目を全てクリアすることが求められ、サプライチェーン、従業員、地域社会、顧客を含むバリューチェーン全体で、環境や社会へのインパクトを包括的に捉え、経済システムの変革を促すものである。
キーワード: B Corp、サステナビリティ経営、グローバル基準、ステークホルダー資本主義、システムチェンジ川端 基夫
関西学院大学 名誉教授
中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学大学院 戦略経営研究科 教授
杉本 ゆかり
立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 特任教授
濵 満久
名古屋学院大学 商学部 教授