ショッパー・マーケティング研究会 2023年度
第4回目は23年10月13日(金)午後の開催(WEBと会場の同時開催)
※ メーカーの営業パーソン、トレードマーケティング担当を対象としたプログラムです

アナリストの視点

小売・流通動向や、個人消費に関する調査分析を長く手がける担当研究員・池田※より、注目動向を解説します。
※日本証券アナリスト協会の認定アナリストとして、小売・流通企業の分析にも従事

2023.4.1 更新

セブン‐イレブンの商品政策にみる示唆

池田 満寿次
公益財団法人 流通経済研究所 主任研究員/
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト

 3月末に東京ビッグサイトで開かれたセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)の春の商品展示会に足を運んだ。4年ぶりのリアル開催となり、メディア向けの商品戦略説明会も開かれた。コンビニ発の新しい商品・サービスは、後々にわたり大きな変化・影響をもたらすことが少なくないだけに、個人的に注目している機会の一つである。
 今年度は商品マーケティングの強化の一環でマーケティング本部が新設されたほか、エリアごとに展開する地域フェアの強化、ネットコンビニ「7NOW」の強化など、環境変化への対応が随所に読み取れた。

 そして今回印象的だったのは、商品の「持続可能な調達」が強調されていた点だ。原材料価格の高止まりが続き、足元では卵ショックに見舞われるなど、小売企業にとって生命線とも言える「商品の安定調達・販売」が不安定な状態が続いている。持続可能な調達に向けて、SEJではサラダなどに使用する葉物について屋内型野菜工場での生産を増やす計画という。また、パン・麺類での国産小麦の使用比率を高めることで、まだまだ少ない日本の小麦生産者を計画的に増やす構想も明かした。「長い年月がかかるかもしれない」(青山誠一・取締役常務執行役員商品戦略本部長)と前置きしつつ、日本での新たな生産者を増やし、育成していこうとする考えを示していたのである。
 そして新商品ではカウンター商材として、肉とえんどう豆を8:2で配合使用した「みらいナゲット」(5個入り241円)という、持続可能かつ環境・健康にも配慮したコンセプトの商品を投入する(→試食、おいしかったです)。そのネーミングからも、商品・販売活動が新しいステージに入っていることを改めて感じた。

 チェーンストア経営では、店舗数を増やし、規模のメリットをテコに収益を積み上げ、その収益を店舗開発に再投資する、といったサイクルが実践されてきた。SEJをはじめ大手チェーンはそのサイクルを回し続け、今日のポジションに至っていると言える。
もっとも日本市場が過渡期を迎える中、規模の大きさがゆえに、安定した調達・供給のハードルが高くなるシナリオも想定される。

 コンビニの場合、ときに小売店舗という枠組みを超え、社会から欠かせないインフラとしても位置づけられてきた。その根本にある商品の安定供給を継続していく上でも、サプライヤーと長期的視点で組んだり、これまでにない新しい座組が台頭しそうな様相だ。