量販チャネル研究会

2. 研究テーマ

研究テーマ1: 流通の変化・・・豊富なデータ、定性情報

 本研究会の最も重要なミッションは、チェーン小売業の動向を把握し、メーカーのマーケティング、営業政策のあり方を検討することです。
 GMS、SM、CVS、ドラッグストア(DrgS)、ホームセンター(HC)などの主要チェーンの動向は随時把握し、上場チェーンの決算情報は、4半期毎にご報告し、データも提供します。
 加えてアマゾンをはじめとするEC事業者やデリバリーサービスなどに関する情報も収集します。
 本年度は、これまでのところ感染症の拡大により上記のうち多くの業態が特需を得ている格好ですが、今後の状況の進展により各業態の主要チェーンがどう動くかに注視してまいります。

研究・関心の対象とするチェーン小売業など

1 流通グループ セブン&アイHD、イオンG、CGC、日生協など
2 総合スーパー/DS イオン、PPIH、イトーヨーカ堂、イズミ、平和堂、トライアルなど
3 スーパーマーケット USMH、ライフ、アークス、ヨークベニマル、ヤオコー、バローなど
4 コンビニエンスストア セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンなど
5 ドラッグストア ウエルシアHD、ツルハHD、コスモス薬品、サンドラッグ、マツモトキヨシHDなど
6 ホームセンター DCMHD、カインズ、コメリ、コーナン商事など
7 デリバリーチャネル アマゾン、楽天、ヤフー、生協宅配、ネットスーパー、配食事業者など

主力業態・チェーンに関して提供する情報

-チェーン小売業態の業績、決算データ
  • 各業態上場企業の年間決算、四半期決算、既存店売上高前年同月比増減率、業績見通しなど
  • 単位面積当り生産性、従業員1人当り生産性など
-チェーン小売業態の最新動向
  • 経営方針、出店、改装、売場作り、商品政策、プロモーション、IT活用、物流など
  • 吸収合併、資本・業務提携などによる流通再編の動向
-業界統計、官庁統計
  • スーパー、コンビニ、ドラッグストア、生協などの業界統計、商業動態統計などの官庁統計

ネット通販、宅配事業者などに関する情報収集

-国内のEC、デリバリーサービスなどの動向
  • アマゾン、楽天などをはじめ、ネット事業者に関する情報提供レベルを高めます。
-海外のECの動向
  • 米国におけるアマゾン、そしてウォルマートをはじめとする店舗小売業のEC展開、IT系の新興サービス業の動向、また中国のEC関連の動向についてもそれぞれの主要な動きを随時捉えてご報告します。

研究テーマ2: 市場・消費者の変化

 小売業の変化に加え、消費の変化を捉えることは、本研究会のもう1つの重要なミッションです。人口減少・高齢化がいよいよ本格的に進み、さらにそこに新型ウイルス禍が加わるところ、メーカーのマーケティング、小売業への提案に使える知見をご提供できるよう、鋭意情報を収集し、検討します。

食料市場のピークアウトと構造変化・・・人口減少・高齢化+世代交代+世帯構造の変化

 弊研究所が昨年行った消費の長期予測によると、2018年にピークアウトしながらもごく微減で来た食品市場がこの2020年以降、本格的な減少過程に入ります。
 ここで重要なのは、人口減少・高齢化に加え、世代交代の影響が本格的に出てくることです。
 消費者の均質度の高いところで人口が減少するだけならば、市場がその分縮小するだけなのですが、世代によって消費の内容が異なるために、世代交代の進行により、大きく縮む市場と逆に伸びる市場も出てきます。
 また世帯の家族類型によっても、消費の内容が異なるため、世帯数は当面さほど変動しないにもかかわらず、単独世帯の増加などの家族類型構造の変化によって伸びる市場と縮む市場が出てきます。
 高齢市場への対応はもちろんですが、こうした市場規模、市場構造の変化をおさえ、消費、そして流通の将来を展望したうえ、メーカーの対応のあり方を提言します。

新型コロナウイルス感染症の影響

 そして本年度は、感染症拡大により消費者の行動にどのような変化が生ずるかにも注目します。
 これまでのところ消費者は買いだめによりDrgSやSMには特需をもたらす格好ですが、状況が長期化するに伴い、消費者の意識、態度、行動に新たな変化が見られるようになるはずです。
 また、政府の経済対策、五輪延期、それに伴うスケジュールの変更などにより消費者の行動がどう変わるかにも注目します。

随時情報を整理している統計など

-人口統計/推計:国勢調査、社会保障・人口問題研究所による将来推計人口、世帯数将来推計などは、そのときどきの業界の関心や課題に沿う集計・分析をし、判りやすいグラフ等を作成してご提供します。
-消費/経済統計:本研究会では、家計調査(総務省)、全国消費実態調査(総務省)、消費動向調査(内閣府)、景気ウオッチャー調査(内閣府)などを常時チェックするとともに、そのおりおりの課題に従い、各種統計データを検討してご提供します。
-また、EC系の調査として、EC市場規模の推計などを行う経済産業省「電子商取引に関する市場調査」、ネットショッピングによる世帯の支出を3万サンプル規模で把握する総務省「家計消費状況調査」なども随時活用します。

研究テーマ3: 2020年のスケジュールと課題

 マクロ的な動向、制度の変化、国家的なイベントなとについて情報を収集・整理し、流通への影響、そしてメーカーの対応のあり方を提言するのも本研究会のミッションです。
 五輪延期によりスケジュールに変化が生ずるうえ、新型コロナウイルスの状況により、どのような事態になるか判らないだけに、鋭意情報を収集し、検討します。

政府の緊急経済対策

-名目GDPの1割、リーマン後の56.8兆円超をめざす事業規模の骨格
-現金給付、旅行、外食などを対象とした商品券発行とその影響

2020年の制度の変化から

-キャッシュレス・消費者還元制度の終了
-マイナポイント制のスタート
-酒税改定のスタート、たばこ増税など
-DrgS業界に影響を及ぼす制度の変化
 ・診療報酬・薬価改定の影響
 ・遠隔診療・調剤などに関する規制緩和の進行など

研究テーマ4: ITの普及と活用

 2020年代に向け、新たなITの活用が本格的に進み、家庭も、店舗も、物流も、そしてマーケティングのあり方も変わるものと考えます。そこで当面以下のような分野についてあらためて情報を収集し、メーカーとしての対応、活用のあり方を考えます。

プロモーションの革新

-アプリを通じた来店促進、プロモーション
-店内での消費者行動把握とリアルタイムCRM

レジの無人化

-スマホ、ビデオカートなどの活用
-画像認識、AIなどを活用したレジ無人化など

オペレーションの革新

-AIを活用した需要予測、自動発注
-店舗でのネットワークカメラ、ロボット活用
-物流、配送でのロボット、自動運転など

IT活用による商品、サービス開発

-Food×Technology=Foodtech
 ・代替肉などの商品開発
 ・生産、加工へのIT活用
-健康維持、増進支援サービス
-家電、パーソナルケア商品のIo T化 など

研究テーマ5: 2020年代の展望と課題

 2020年は、大きな変化が想定される2020年代スタートの年でもあります。そしてその後の変化はさらに大きなものとなりそうです。
 本研究会は、長期的な視点も持ち、メーカーが取り組むべき課題について考えます。

2020年

-5G商用サービス開始、「還元」終了、オリンピック、パラリンピック
-最寄品市場が本格的な縮小過程に・・・流通の相当大きな変化の開幕を予想

2022年

-団塊の世代が後期高齢者になり始め、社会は次のステージへ、医療、福祉の改革進むか?

2023年

-イオン・Ocadoによるネットスーパー事業スタート予定
-No Delivery, no Businessの時代が来る?

2025年・・・中間点であり、目標年

-団塊の世代がすべて後期高齢者になり、いわゆる2025年問題の年
-大阪で万博開催・・・各企業が新たな姿を内外に示すことに期待

2027年

-品川・名古屋を40分、のぞみ+700円で結ぶとされるリニア開通の可能性、この国のかたちが変わる?

2029年

-シンギュラリティ―に向け、人工知能の賢さが人間を超えるとされる年

いつ来るか判らないリスク

-向こう30年以内に70%の確率とされてきた首都直下地震などの大地震
-新たなウイルスによるパンデミック

研究テーマ6: メーカーのあり方の研究

 本研究会では、上記のような情報の収集・検討を踏まえ、今後のメーカーのあり方自体も考えてまいりたいと思います。難しい課題ですが、大きな環境変化に対応するため、「生産性向上」は必要条件、加えて「進化」をこれも実は不可欠な十分条件として、少しずつでも考えてまいります。

生産性向上・・・生き延びるための必要条件

右図は、イギリスのリージョンを対象にした調査に基づくものですが、生産性向上を考えるうえで、参考になるように思います。
-生産性と最も相関が強いのは、アントレプレナリズムで相関係数0.91
-ついで労働者・社員の能力向上のための投資に関する2要因が有効そう
-技術革新はそれだけでは今一つで、仕事の仕方や組織も変えなければならない模様
-競争と生産性の相関はほぼゼロで、競争をしているだけでは生産性は上がらないということ

進化・・・生き延びるための十分条件

-環境が大きく変わるところでは、従来路線のまま生産性を上げるだけでは生き延びられない
-生き延びるには、従来路線に留まらない進化が不可欠
-そしておそらく巨大化するリスクに対する対応力、耐性を備えることも必要になる