ネット・ショッパー研究会

課題領域とテーマ

課題領域1:食品・日用品のネット・ショッパーの特徴・ニーズと今後

 食品や日用品などの普段の買い物で、ネットスーパーやECを利用するのはどのような人たちなのでしょう?育児中の女性、要介護の家族のいる方や高齢の方など買い物に行くのが難しい方々の利用が多いという定説は、はたしてその通りなのでしょうか?
 昨年度研究会の結果より、各ECサイトおよびネットスーパーはそれぞれ異なる社会的属性を持つショッパーに支持されていること、年代によるECサイトおよびネットスーパーの利用額・利用率には大きな差がないこと、一方で主利用デバイスについては若年層・壮年層間で大きな差が見られること、多くの場合ネット購買が夜や通勤帯に集中していること、現状多くのネット・ショッパーが宅配ロッカーなどを使用していないことなどが判明しています。こうした事実は、QPRに代表されるチャネル横断型の実購買データと、消費者意識調査の双方を分析することによって初めて明らかになるものです。
 本研究会の「課題領域1:食品・日用品のネット・ショッパーの特徴・ニーズと今後」では、これまでの既往研究の知見をもとに、以下の2 つの視点から調査・研究を進めてまいります。

1. 「 消費者購買履歴データ(QPRTM)・WEBアンケート調査の経年比較によって、「ネット・ショッパーの属性・ニーズの経時的変化」を明らかにします。
2. こうしたデータから今後の日本における業界構造の変化がどのように生じうるのかを、課題領域3 のデスクリサーチと合わせることで明らかにします。

本領域での研究テーマ例
 ●ネット購買利用者の特徴(誰が利用しているのか?)
  ・ ネット・ショッパーの属性の特徴
  ・ 主利用デバイスの推移・性別年代別特徴
  ・ ライフステージと連動した「ネット・ショッパー」化の有無・その傾向
 ●ネット購買利用者の利用実態と今後の意向(どのように使い、今後利用が増えるのか?
  ・ ネット購買を利用する理由・ニーズ
  ・ リアル店舗との使い分け基準
  ・ 利用頻度や1回の注文金額の現状と今後の意向
  ・ 配送料・商品受け取り場所の変化
 ●関連サービスの利用状況と今後の意向
  ・ 実店舗での宅配サービス、移動スーパー、宅配ボックス等の利用状況・ニーズ
  ・ サービスや事業提供者の選択基準

課題領域2:ネット上でのカテゴリー・商品選択など購買行動の特徴

 流通経済研究所では、インストア・マーチャンダイジング研究(ISM)として1980年代よりスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアにおける店舗内購買行動についての研究を続けてまいりました。実店舗では、消費者は売り場を買い回る過程で、単品を選択しながら購買を進めていきますが、ネットでは消費者はどのようなプロセスで買い物を進め、購買するカテゴリーをどのように想起しているのでしょうか?
 昨年度研究会の結果より、多くのネット・ショッパーによって実店舗と異なる商品が購入されていること、異なる商品が購入されるかどうかについては、商品カテゴリー間の違いが大きいこと、注文時の利用デバイスによって、購買行動のプロセスは大きく異なること、などが判明しています。こうしたネット上での購買行動の知見は、価格戦略のみならず、パッケージ開発やコミュニケーション戦略にも深く関わるものです。
 本研究会の「課題領域2:ネット上でのカテゴリー・商品選択など購買行動の特徴」では、こうした既往研究の知見を元に、以下の2 つの観点から調査・研究を進めてまいります。

1. 過年度調査との比較を通じて、「ネット・ショッパーの購買行動の経時的変化」を明らかにします。
2. 今年度よりスタートするウェブ・インストアマーチャンダイジング研究(WEB-ISM)の一環であるWeb買い物動向調査を通じて、ウェブ上での商品選択のプロセスを意識的側面・非意識的側面双方より明らかにします。

本領域での研究テーマ例
 ●ネットを介して購買される商品の特徴
  ・ 購買カテゴリー数・SKU数
  ・ 実店舗との違い、ネットで買われやすい商品(食品・日用品)
 ●ネット上での購買プロセスの解明
  ・ 利用する時間・場所・状況・デバイス、注文にかかる時間
  ・ 参照する情報の種別・内容
  ・ 購買順序
  ・ 購買カテゴリー・商品の計画性
  ・ 非計画カテゴリーの購買想起のトリガー
  ・ ネット購買の経年変化
 ●購買商品・ブランド選択の特徴
  ・ 商品比較時に見る情報・選択基準
  ・ 新製品購入時の情報経路

課題領域3:ネット販売事業者、関連サービスおよび海外の動向

 近年、「Amazon フレッシュ」や「楽天西友ネットスーパー」に代表される生鮮宅配サービスが、様々な事業者により多く提供されています。こうしたサービスが拡大する背景には、買物や料理をはじめとする“ 家事” の時間や手間を減らしたいというニーズがあります。一方、キャッシュレス決済やスマホアプリなども近年、消費者側の「お得さ」を求める心理と、流通業側の「消費者データ」を求める企業戦略という2 つのニーズが噛み合うことによって、急激に拡大してきました。
 こうした社会的ニーズの変化に伴い、流通業が今後どのように変化するのかについては、一地点における数量データの解釈だけで明らかにすることはできません。そのため、日本の流通システムの変化を考察するためには、近年の社会変容のトレンドと流通システムの国際比較を通じて分析する必要があります。
 本研究会の「課題領域3:ネット販売事業者、関連サービスおよび海外の動向」 ではサービス提供事業者の動向や海外の先行事例について、単なるトピックスの取りまとめだけでなく、周辺情報を含めたより深い考察、消費者の反応などを交え、調査・研究成果をご提供してまいります。

 本研究会の「課題領域3:ネット販売事業者、関連サービスおよび海外の動向」 ではこうしたサービス提供事業者の動向や海外の先行事例について、単なるトピックスの取りまとめだけでなく、周辺情報を含めたより深い考察、サービス提供事業者へのインタビュー、消費者の反応などを交え、調査・研究成果をご提供してまいります。

本研究会での調査・研究の方法

 ネット・ショッパーの特徴、購買カテゴリー・商品の特徴など「実態(ファクト)」については、おもに「消費者購買履歴データ(QPRTM)」を用いて分析・研究を実施します。
 一方、ネット購買を利用する「理由」、サービス提供事業者や購入商品選択の「基準」、今後の利用に関する「意識」などは、「Web アンケート調査」を用いて量的な把握をするとともに、ネット上での購買プロセスやより深い「理由・意識」については、グループ・インタビューやWEB-ISM(ウェブ・インストアマーチャンダイジング)解明のためのWeb 買い物動向調査などを用いることにより、調査・研究を進めてまいります。調査設計や調査票の作成にあたっては、研究会ご参加の皆様に事前に事務局案をご提示し、ご意見・ご要望を反映いたします。
 またサービス提供事業者の動向や海外動向、人口動態などネット・ショッパーにとっての環境要因については、統計資料、新聞・雑誌記事等によるデスクリサーチに加え、事業者へのヒアリングなどにより研究を行う予定です。