出版・情報サービス

流通情報バックナンバー 2021年

No.553 | Vol.53 No.4(2021年11月発行)

特集 脱炭素社会に向けた流通業のアクション

特集にあたって

石川 友博
公益財団法人流通経済研究所 上席研究員

お客さまとともに夢のある未来を目指す、イオンのサステナビリティ

鈴木 隆博
イオン株式会社 環境・社会貢献部 部長

 イオンは「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指す「イオンサステナビリティ基本方針」のもと、環境・社会課題についての中長期かつグローバル水準の目標を定め、ステークホルダーの皆さまとともに、お客様のサステナブルなくらしと持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。2018年には、事業全体で脱炭素化を目指すことをコミットし、自社のみならず、サプライチェーン各段階のCO2排出量削減に向け、「店舗」「商品・物流」「お客さまとともに」の3分野で取り組みを進めています。本稿ではこれまで環境・社会課題への取り組みに触れながら、イオンが現在起きている環境・社会・お客様の変化をどのように捉え、どのような取り組みを進めているのか説明します。

キーワード: サステナブルなくらし、脱炭素化、脱炭素型ライフスタイル、店舗の脱炭素化、サプライチェーン全体での脱炭素化
捨てるという概念を捨てよう-Eliminate the idea of waste
 ~循環型ショッピングプラットフォームLoopの挑戦~

エリック・カワバタ
TerraCycle Japan合同会社/Loop Japan合同会社 代表

 テラサイクルが展開する循環型ショッピングプラットフォームLoop(ループ)の現状を報告するとともに、今後の可能性や展望について述べる。Loopは日本においても5月から首都圏を中心として実証実験が始まり、ゴミを出さないショッピングプラットフォームとして注目を集めている。テラサイクルの歴史、リサイクル事業の紹介、そしてLoopの目的、その仕組みや魅力、そして将来の展望などを解説する。

キーワード: サーキュラーエコノミー、サステナビリティ、環境問題、ゴミ問題、SDGs
脱炭素社会の実現に向けた持続可能な物流の構築~内閣府・戦略的イノベーション
創造プログラム(SIP)「スマート物流サービス」研究成果より~

田代 英男
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 我が国の物流においては、将来的に「モノを運べなくなる」懸念があり、低炭素化は避けて通れない課題となっている。その解決には、企業の垣根を越えた連携が重要であるため、まず物流の現状と課題を捉え、企業間連携の在るべき姿を明確にした。その上で、SIP「スマート物流サービス」の取り組み事例を検証することにより、物流の今後の方向性として、「経営層の意識変革」、「標準化の推進」、「物流情報の見える化の推進」、「企業が取り組みやすい環境整備」を位置づけた。

キーワード: 企業間連携、意識変革、標準化、見える化、環境整備
スマートフードチェーンとSDGs
 ~農産物・生鮮流通のカーボンニュートラルに向けて~

折笠 俊輔
公益財団法人流通経済研究所 主席研究員

 スマートフードチェーンは、農産物を出荷箱などの単位で個体識別し、その個体識別コードを用いて、生産から流通、消費までのデータを連携していくデータ連携基盤である。これは、ステークホルダーとなる企業の収益だけを追求するものではなく、社会的な価値も追及するものであり、事業者の食品廃棄ロスの削減や農産物の生産から消費までのCO2排出量の見える化、可視化、および環境対応の施策に貢献するものである。

キーワード: SDGs、スマートフードチェーン、データ連携、カーボンフットプリント、物流
食品小売業のサステナビリティ戦略の評価

石川 友博
公益財団法人流通経済研究所 上席研究員

 食品小売業のサステナビリティ推進の状況をどう捉えるべきかという問題に取り組む。定量的な分析から、社会の持続可能性に関する動きが加速する中で、食品小売業の戦略・組織対応が急がれることを示す。また、食品ロスにかかる外部不経済問題として流通商慣習の納品期限緩和に焦点を当て、多くの食品小売業が社会的意義からこの問題を捉えていることを見る。本稿の貢献は、食品小売業をはじめとする流通事業者のサステナビリティに関する取り組みを後押しする共通の視点を提供することである。

キーワード: サステナビリティ、脱炭素化、SDGs、統合報告書、食品ロス

視点

責任ある消費:Responsible Consumption

大平 修司
千葉商科大学 商経学部 教授

論文

リユース企業の海外進出における戦略的課題:「(株)ハードオフコーポレーション」を例に

川端 基夫
関西学院大学 商学部 教授
富山 栄子
事業創造大学院大学 教授
富桝 満
事業創造大学院大学 修士課程/株式会社ハードオフコーポレーション・FC店舗運営部 サプライセンター長

新刊紹介

箸本健二、武者忠彦編『空き不動産問題から考える地方都市再生』

渡辺 達朗
公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学 商学部長・教授

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No.552 | Vol.53 No.3(2021年9月発行)

特集 日本型モバイルコミュニケーションの新展開

特集にあたって

山﨑 泰弘
公益財団法人流通経済研究所 常務理事

海外におけるモバイル・マーケティングの効果測定事例と日本ならではのアプローチ

寺本 高
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/横浜国立大学大学院 教授

 本稿では、最新のモバイル・マーケティング・ミックスの枠組みを紹介し、その枠組みの中でも特に「発信タイミング」に基づいた効果測定事例を「時間」「位置」「コンテクスト」の3つの観点から紹介する。これらの結果は、マーケティング上示唆に富むものであるが、精度追求ゆえにプライバシーに踏み込んだ測定であることから、日本での適用は難しい。そのため、日本ならではの情報取得と効果測定の在り方として、①ターゲティングの操作はシンプルだけど「コンテクスト」にうまく踏み込んだクーポニングを目指すことと、②シンプルな「コンテクスト」の収集方法として消費者の買い物メモを活用すること、の2点を提案する。

キーワード: モバイル・マーケティング・ミックス、時間、位置、コンテクスト、プライバシー懸念
小売業のスマートフォンアプリの展開とモバイルマーケティング戦略

渡邊 秀介
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 小売業が展開するスマートフォンアプリが誕生して10年、多様な形式のアプリが登場してきた。本稿では、現在展開されている小売アプリを統合型ECアプリ、機能特化型アプリ、機能特化型プラットフォーム、スーパーアプリの4つに整理した上で、それぞれがマーケティング戦略上とりうるポジショニングについて、アプリ提供側とユーザー側の視点から検討する。

キーワード: スマートフォンアプリ、スーパーアプリ、モバイルマーケティング、DX、カスタマージャーニー
SMにおけるモバイルコミュニケーションの成功の秘訣は組織づくりとクリエイティブにある

望月 洋志
D&Sソリューションズ株式会社 取締役 共同CEO 情報卸事業部長
兼 株式会社日本アクセス 商品統括・マーケティング管掌付 特命担当

 小売業界でもDXという言葉が話題になっているが、成功事例はまだ多くはないと感じている。なぜDXは進まないのだろうか。本稿ではその要因を「構造的課題」として捉えているが、いくつかのケースを通じて、DXを進めるための論点とその解決策について考察する。

キーワード: DX、デジタルトランスフォーメーション、組織、モバイル、クリエイティブ
Tポイントが取り組むモバイルコミュニケーション

佐藤 伸
CCCマーケティング株式会社 データベースマーケティング研究所

 日常生活のなかでモバイル端末を利用する時間が増え、それは企業と顧客とのタッチポイントにおいて最重要デバイスとなっている。モバイルの機能開発については、複数の企業間での活用を踏まえて、相互に連携する仕組みを前提に考えることが有効である。モバイルの普及はユーザーの情報発信についても身近なものとし、顧客との長期的な関係性を考えるうえでユーザー同士のコミュニティや、ユーザー体験のシェアは重要な要素となり得る。リアル店舗における顧客情報の活用はますますパーソナライズ化され、今後の5G普及によるリテールテックの加速にも期待が寄せられる。

キーワード: モバイル販促、顧客体験、クーポン、レコメンデーション、共通ポイント

視点

「流通革命」から考えるSociety5.0時代

杉本 徹雄
上智大学 教授

新刊紹介

折笠俊輔『農家の未来はマーケティング思考にある:EC・直売・輸出 売れるしくみの作り方』

小林 哲
大阪市立大学 教授

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No.551 | Vol.53 No.2(2021年7月発行)

特集 東日本大震災後10年の農水産物流通とマーケティング

特集にあたって

石橋 敬介
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

福島県農産物等の流通実態と販路拡大に向けて

武田 裕紀
農林水産省 食料産業局 食品流通課長

 福島県農産物(「福島県産農産物等流通実態調査」重点6品目)の出荷量は東日本大震災前の水準まで回復しておらず、全国平均との価格差は徐々に縮小しているものの、一部の品目では全国平均価格を下回る品目もみられる。認識の齟齬を解消するための方策として、行動経済学の知見を活用した同調行動を促す取組は、情報の内容を理解させることには有効である可能性は見えたが、行動そのものを促進することまでは確認できなかった。また、価格差を解消するための福島県農産物のブランド力強化の方策として、「ふくしまプライド。」をコミュニケーションメッセージとした販路拡大、情報発信に取り組んでいる。

キーワード: 福島県産品、農産物流通、流通実態調査、価格形成、販路拡大
福島県産品の価格の状況と消費者の購買に関わる要因の分析

佐々木 舞香
公益財団法人流通経済研究所 研究員

石橋 敬介
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 本稿では、福島県産品の流通における価格の状況と、消費者の購買に関わる要因について分析を行った。価格に関しては、品目によっては震災後に生じた低価格が未だに続いていることや、価格が回復傾向にある品目でも供給過剰時には他産地産品よりも低価格となる問題を明らかにした。購買の要因については、福島県産品の購買有無に関する要因と、購買品目数に関する要因に分けて分析を行った。この分析の成果の一例として、福島県産品を購入する顧客の間口を広げるには応援消費を促す施策等が有効であり、多くの品目を買ってもらうには他県にない福島県の良さを発信する施策等が有効であることが示された。

キーワード: 東日本大震災、風評被害、卸売市場、購買行動、ゼロ過剰ポアソン回帰モデル
東日本大震災後に成長を遂げたいわき菌床椎茸組合の経営事例

松本 正美
農事組合法人いわき菌床椎茸組合 専務理事

 本稿では、いわき菌床椎茸組合の経営事例を紹介する。当組合は、東日本大震災をきっかけに一度は顧客を失ったが、その後事業規模を拡大してきた。その背景には、職員とお客様・お取引先の満足度で日本一を目指す経営理念がある。また、安心・安全の取組を継続して行うとともに、徹底した顧客志向で販売と生産活動を行い、椎茸のブランディングも行ってきた。今後の被災地復興の一助とするため、本稿でその具体的な内容について紹介する。

キーワード: 経営理念、安心・安全、顧客志向、ブランディング、東日本大震災
福島県の桃農家の経営改善のための方策に関する研究

中島 彰一
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 本稿では、ヒアリング調査を通じて、高価格帯商品の販売を促進するためには、ブランドロイヤルティの形成や消費者の購買行動の後押しに向けた取組が有効であることが示唆された。桃という品目特性上、知らない農家から購入する場合、味や食感が自分の好みと違う可能性があることがスイッチングコストの高さにつながっているとともに、適切に熟した状態で送付することが顧客満足度向上に寄与することから、ブランドロイヤルティが形成されていると考えられる。また、適切な熟度の状態で送付することや安全性に対する情報提供を積極的に行うことが、桃を経験財と捉える消費者と信用財と捉える消費者の両者の購買を後押ししている可能性がある。

キーワード: 東日本大震災、ブランドロイヤルティ、顧客満足、スイッチングコスト、消費者購買行動

視点

野菜加工品の開発輸入にみられる転換期

菊地 昌弥
桃山学院大学 教授

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No.550 | Vol.53 No.1(2021年5月発行)

特集 コロナ禍で成長する小売業、変わる売れ筋商品

特集にあたって

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事 /中央大学ビジネススクール 教授 

コロナ禍・DX化で成長する小売業の提供価値

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事 /中央大学ビジネススクール 教授 

 コロナ禍による購買行動変容およびDX化の進展によって小売業は変化対応を迫られている。行動変容は6ヶ月継続すると習慣になるとも言われる。また、DX化はスピードが速くキャッチアップすることが大変むずかしい。このような環境変化の中で、食品小売業界で成功している小売業のビジネス・モデルの提供価値について検討した。その結果、利便性価値、経済性価値、ブランド価値、顧客体験価値の4つの価値が重要であるとの結論を得た。

キーワード: Amazon Effect、DX化、ビジネス・モデル、オムニチャネル、顧客体験
COVID-19が加速させる消費者の変化と小売事業者の対応方向性

中川 朗
みずほ銀行 産業調査部

 COVID-19下での「新しい生活様式」の社会的浸透および雇用・所得環境の変化は、消費者行動が変化する速度を速めた。こうした消費者行動の変化が構造的要因となることから、小売事業者にとっては①EC化の進展、②差別化された店舗・独自の顧客体験の提供、③購買行動の生活圏化、④サステナブル志向、⑤節約志向に対応する必要があろう。また、新しい生活様式は「店舗に集客し、滞在を促す」従来型小売業の持続可能性に課題を投げかけた。同時にデジタル活用の変化は、消費者と企業とのコミュニケーションが直接的かつ継続的なものに進化する契機となった。こうしたことから、中長期目線では、COVID-19は小売業にとって売り切り型から消費者との継続的な関係を前提とする顧客生涯価値をベースとしたビジネスモデルへの転換を示唆したと考えられる。

キーワード: EC化、顧客体験、生活圏化、サステナブル志向、顧客生涯価値(LTV)
新型コロナウイルス感染拡大期におけるショッパーの意識と行動の特徴
 ―「ショッパー・マインド定点調査」データの分析と考察―

鈴木 雄高
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 新型コロナウイルスの感染が拡大して1年近くが経過したが、収束の兆しが見えない。この状況において、ショッパーの購買行動や意識にどのような変化が生じたかを把握するために、「ショッパー・マインド定点調査」(2021年1月)の結果を分析した。
 その結果、「地元で生産・製造された商品を選ぶ」、「店内でなるべく早く買い物を終える」、「事前に買うものを決めて買い物メモをつくる」、「精神的な健康を保つよう心がける」の回答者割合が高まっていることがわかった。
 今後、小売業者にとっては、地域密着の度合いを高めることや、デジタル技術の活用により買物体験を向上させることが重要になる。

キーワード: 新型コロナウイルス、消費者調査、ショッパー、購買行動、購買意識
新型コロナウイルスが食品スーパーの購買行動に与えた影響

矢野 尚幸
株式会社ショッパーインサイト データマーケティンググループ 主任コンサルタント

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を機に意識が大きく変化し、食品スーパーでの購買行動もこれまでとは大きく異なる傾向を示している。アンケート調査では、買物回数を減らし、1回当たりの買物金額を増やす、混む時間を避けるという意向が見られるが、実際購買履歴データでもそのような動きが見られた。また多くのカテゴリーで販売高が増加しており、特に高価格帯、ストック性のある食材の増加幅が大きかった。
 しかし、今後の懸念事項としては、需要が一巡し前年同期ほどの勢いは既に見られないことや、デフレの進行により低価格志向が高まることが挙げられる。

キーワード: 購買履歴データ、来店回数減少、バスケット単価増加、意識に基づいた購買行動、デフレへの懸念
スーパーマーケットの市場POSデータから見るコロナ禍の消費財トレンド

渡邊 秀介
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 コロナ禍に見舞われた2020年、生活者のスーパーマーケットでの購買行動は変化した。本稿では市場POSデータを用いて、2020年にスーパーマーケットで購買された商品カテゴリーのトレンドを確認する。感染防止用商品を筆頭とする日用品の購買は長期的な増加トレンドを続けているが、食品では一部カテゴリーの散発的な流行が見られるにとどまり、細分類レベルではコロナ収束につながるようなトレンドは現状では見て取れない。

キーワード: スーパーマーケット、市場POSデータ、コロナ禍、商品トレンド、消費財

視点

データサイエンティスト活用へ

江原 淳
公益財団法人流通経済研究所 評議員/専修大学 ネットワーク情報学部 教授

資料紹介

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No.549 | Vol.52 No.6(2021年3月発行)

特集 データとAIを活用した顧客理解の深化

特集にあたって

鶴見 裕之
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/横浜国立大学 国際社会科学研究院 教授

流通・小売り・飲食業におけるエリア把握の重要性とデータ活用のトレンド

遠藤 朱寧
株式会社ギックス Enabling事業本部 D&S Div. マネージャー

 当社ビジネスへのデータ活用に際し、昨今注目を集めている「エリア情報」。従来入手が難しかった情報により、データの質も量も格段に上がったもののデータの導入や活用に至るまでにいくつかの課題が立ちはだかることだろう。本稿では現場でエリア情報を活用した際のモデルケースを示すことで、今後のエリア情報活用についての具体的なイメージを掴んでいただき、自社ビジネスを発展させていくための一助としていただきたい。

キーワード: 位置情報、エリア情報、データ活用、レポーティング、店舗運営業務
アフターCOVID-19に向けた小売業の顧客戦略
 -DXと機械学習を活用したパーソナライズの必要性-

鶴見 裕之
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/横浜国立大学 国際社会科学研究院 教授

 コロナ禍によって社会生活のDXが加速した。アフターCOVID-19においてはパーソナライズの重要性が高まると予想される。そして、実店舗を持つ小売業がパーソナライズを実践する場の1つに、店内・外で顧客とのコンタクト・ポイントを築くことができるモバイル・アプリがある。機械学習の中でも比較的枯れた手法が活用できるという観点から、ウェグマンズの取り組みを参考に、ショッピングリストを活用したレコメンド・システムのアプリへの導入を我が国のスーパーマーケットは考えるべきである。

キーワード: アフターCOVID-19、デジタル・トランスフォーメーション、パーソナライズ、モバイル・アプリ、レコメンド・システム
小売業のデジタルトランスフォーメーションを支えるAI活用
 -スーパーにおけるお客様のためのAI活用事例-

満行 光史郎
株式会社カスミ 取締役執行役員 ビジネス変革本部マネジャー/
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社 プログラムマネジャー

 当社のDXへの取り組みの中で、顧客体験の創造のためにAIの活用は必須のものである。得られるデータを元にしたAIを活用し、様々な接点からお客様サービスの「カスタマイズ」と「パーソナライズ」に向けて取り組んでいる。本稿では、現在進行中の取り組みも含めてAIの活用の方向性についてご紹介する。

キーワード: カスタマイズ、パーソナライズ、デジタルサイネージ、リコメンデーション、AIロボ
商品パッケージにおけるAIの研究的利用の提案

三坂 昇司
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員・リアル店舗活性化プロジェクトマネジャー

 AIの利用は、今後「人間がAIから学ぶ」というスタイルも主流になっていくと考えられる。本稿では、まず商品のパッケージデザインにおける店頭の課題を確認する。その後に流通経済研究所・店頭研究開発室が企画・運営するリアル店舗活性化プロジェクトで育成に取り組んでいるAI視線推定機能を用いて商品のパッケージデザイン評価の事例を取り上げ、AIの「研究的利用」について可能性を検討したい。

キーワード: パッケージ、AIの活用、AI視線推定機能、研究的利用、リアル店舗活性化プロジェクト

視点

ワクチンの有効性はどのように測定するのか?

守口 剛
公益財団法人流通経済研究所 評議員/早稲田大学商学学術院 教授

査読論文

来店間隔とカテゴリ購買生起を考慮した購買行動の統合モデル
An Integrated Purchase Behavior Model Considering Interarrival Time and Category Purchase Incidence

佐藤 栄作
千葉大学

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No.548 | Vol.52 No.5(2021年1月発行)

新春対談

コロナ禍における流通の経営課題とDXへの挑戦

青山 繁弘
公益財団法人流通経済研究所 理事長

上原 征彦
公益財団法人 流通経済研究所 理事・名誉会長/
株式会社コムテック22 代表取締役

特集 コロナ下におけるEコマースの成長

特集にあたって

山﨑 泰弘
公益財団法人流通経済研究所 常務理事

コロナ下におけるEC市場とショッパーの実態分析

山﨑 泰弘
公益財団法人流通経済研究所 常務理事
秋山 周悟
公益財団法人流通経済研究所 元研究員

 コロナ下では、外出自粛による在宅時間の増加に伴い、ショッパーの生活スタイル・購買行動は、明らかに変化したと考えられる。本稿では、コロナ下におけるEC市場の動向について「家計消費状況調査」を用いて確認するとともに、流通経済研究所が主催する「ネット・ショッパー研究会」にて実施した「ネット・ショッパー基礎調査」を用いて、ショッパーの実態について分析した。

キーワード: EC市場、ネット・ショッパー、実店舗とネットの使い分け、ネット購買頻度、コロナ下
ヤフーのEコマース事業の現状と将来展望

保苅 真一
ヤフー株式会社 ショッピング統括本部 マーケティング本部 本部長
白石 浩二
ヤフー株式会社 ショッピング統括本部 ソリューション営業部 部長
秋澤 奈緒美
ヤフー株式会社 ショッピング統括本部 ショッピング広報

 コロナ下においては、外出自粛や緊急事態宣言をきっかけに、Eコマース市場が急拡大した。ヤフー株式会社においても、サイト上でのステイホーム特集や実店舗在庫表示機能の追加など、新しい取り組みを行いながら、コロナ下における業績を拡大してきた。本稿では、コロナ下におけるヤフー株式会社の取り組み事例などを紹介するとともに、今後拡大していくEコマース市場を展望する。

キーワード: Eコマース、ヤフー、PayPay、コロナ下、OMD
コロナ下で急拡大するネットスーパー ~増える高齢者の利用と今後の展望~

池田 満寿次
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 コロナ下で消費者の買い物行動が大きく変わる中、利用が飛躍的に拡大しているのがネットスーパーだ。感染への警戒下、生鮮などの商品を自宅まで届けてくれるという長所が、多くの生活者に認識された形だ。足元では高齢層の利用増も目立つ。買い物での負荷がかかりやすい高齢層はネットスーパーと相性が良く、コロナ禍が過ぎ去った以降も、利用の定着が期待できる。本稿ではネットスーパーを取り巻く環境変化と今後の展望を追う。

キーワード: 利用の急拡大、高齢者の利用増、実った「品質向上」、問われる収益改善、問われる真価
コロナ下における食品のオンライン購買状況

山﨑 泰弘
公益財団法人流通経済研究所 常務理事

 本稿では、消費者購買履歴データ(QPR™)を用いて、ECサイトおよびネットスーパーでの食品購買状況と食品オンライン購買金額に影響するショッパー属性を分析した。緊急事態宣言発令期間を含む2020年4月~6月は、食品オンライン購買金額が前年同期比で121.5%と大きく伸長した。この時期に食品オンライン購買金額が多いショッパー属性は女性、高齢層、高収入、大都市在住者であることが確認できた。

キーワード: EC化率、ネットスーパー、食品オンライン購買、コロナ下、ショッパー属性
米国に見るコロナ下で変化した消費者購買行動と小売業の対応

神谷 渉
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/
玉川大学 経営学部 准教授

 米国では新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出制限や営業制限によって、消費者の購買行動は大きく変化した。非接触での商品引き渡しやECの活用などが従来以上に拡大し、これまで利用しなかった店舗や商品の利用なども行われるようになっている。小売業においても業績は二極化しており、そのうち好調な企業である米ターゲットの成功要因を確認すると、コロナ下以前よりデジタル化に向けて人材や仕組みを整備してきたこと、またさらなるデジタル強化のために店舗を改装して店舗起点のECのフルフィルメントを確立するユニークな取り組みを行ってきたことが明らかとなった。

キーワード: 新型コロナウイルス、デジタル戦略、オムニチャネル、EC、ターゲット

新刊紹介

梅澤伸嘉『「梅澤式」だと、なぜ超ヒット商品がこんなに作れるのか』

上原 征彦
公益財団法人 流通経済研究所 理事・名誉会長/
株式会社コムテック22 代表取締役

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