出版・情報サービス

流通情報バックナンバー 2020年

No.547 | Vol.52 No.4(2020年11月発行)

特集 価格戦略のニューノーマル

特集にあたって

守口 剛
公益財団法人流通経済研究所 評議員/早稲田大学 教授

モノからコトへの価格戦略

守口 剛
公益財団法人流通経済研究所 評議員/早稲田大学 教授

 モノからコトへという消費価値の変化は、モノベースから価値ベースの価格設定への変化を促しているが、顧客にとっての利用価値や体験価値は人によって異なるため、価値ベースの価格設定においては顧客別価格を採用することが自然な方策となる。本稿では、近年進展しているサブスクリプション・モデル、成果ベース価格などの価格設定方式の新しい潮流に焦点を当て、これらの方式が顧客価値をベースとする顧客別価格設定を実現するための解であるという視点から、価格設定方式の動向を論じる。

キーワード: 価格設定方式、課金方式、顧客別価格、サブスクリプション・モデル、成果ベース価格
情報財の価格戦略―「フリー」「多段階価格差別」:情報社会で中長期に成長するビジネスモデル

山口 真一
国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター 准教授

 近年、ビジネスの破壊的変化が起こる中で、FSP-Dモデルという、「フリー」「ソーシャル」「価格差別」「データ」を組み合わせたビジネスモデルが覇権を握るようになってきている。本稿では、その中でも情報財の価格戦略として、特に「フリー」「価格差別」に着目し、豊富な事例と実証分析結果を示したうえで、日本企業が今後とるべき戦略について検討する。
 検討の結果、①フリーで成功するには、共食いを恐れずにフリーでも良い体験を消費者に提供すること、②高度なシステムであってもフリーにすることで、ネットワーク効果やビッグデータ活用という観点からビッグビジネスになること、③多段階価格差別では、一物一価の時の7~8倍の収益が得られること。などが明らかになった。

キーワード: 基本無料、フリー、多段階価格差別、FSP-Dモデル、データ利活用
サブスクリプションサービス普及の背景とこれから

久我 尚子
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員

 サブスクリプションサービス普及の背景には「所有から利用へ」という消費行動の変容がある。「所有から利用へ」という流れには、経済的な理由からモノを「買えなくなった」、消費社会の成熟化や情報技術の進化によって「買う必要がなくなった」、モノよりも「コトを買うようになった」という3つの要素がある。コロナ禍では経済的な厳しさが一層増すとともに、巣ごもり需要や非接触志向の高まりによって消費行動のデジタル化が加速している。今後はシニアのデジタル消費も期待でき、サブスクリプションサービスには好機とも言える。新型コロナウイルスは経済活動に甚大な悪影響をもたらしているが、新たなビジネス機会も創出している。

キーワード: 所有から利用へ、デジタル化、新型コロナウイルス、巣ごもり需要、サブスクリプション
YouTubeスーパーチャットに見る投げ銭の構造と可能性

渡邊 秀介
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 インターネットを通じて任意の金額を贈ることができる「投げ銭」サービスが流行しつつある。一例として、動画配信サービスYouTubeが提供するスーパーチャット機能は、投げ銭機能を配信者と視聴者のコミュニケーションと結びつけることで、その利用を促進することに成功している。本論では、スーパーチャットを事例として、投げ銭というサービスがもつ性質とその応用可能性について検討する。

キーワード: 投げ銭、YouTube、スーパーチャット、双方向コミュニケーション、投資と寄付

視点

CSI(顧客満足度指数)で見るコロナ禍の顧客心理

小野 譲司
青山学院大学 経営学部 教授

論文

コロナ禍で加速するネット通販

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事 /中央大学大学院 戦略経営研究科 教授
鈴木 一正
中央大学 中村博研究室 アジアショッパーインサイト研究会

資料紹介

海外の流通&マーケティング

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No.546 | Vol.52 No.3(2020年9月発行)

特集 食品ロス削減

特集にあたって

渡辺 達朗
公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学商学部長・教授

食品ロス削減に向けて-食品関連事業者の皆様へ取り組んでいただきたいこと-

岸田 学
農林水産省食料産業局 バイオマス循環資源課 課長補佐

 食品ロスの削減は、一人一人が我が事として取り組むものであり、「国民運動」として推進する必要がある。10月は食品ロス削減月間、本年10月30日は「全国一斉商慣習見直しの日」としており、この日に納品期限の緩和、賞味期限表示の大括り化に取り組む企業を公表予定であり、食品関連事業者の皆様には、これを機に商慣習の見直しを検討していただきたい。食品関連事業者の皆様におかれては、食品ロス削減推進法の基本方針で盛り込んだ「求められる役割と行動」を実行すると同時に、消費者に対して自らの取組を情報提供いただきたい。それにより、消費者が、食品ロス削減に取り組む事業者の商品等を積極的に利用する流れを作り出していきたい。

キーワード: 食品ロス、食品ロス削減推進法、納品期限の緩和、賞味期限表示の大括り化、全国一斉商慣習見直しの日
7&iグループの持続可能性への挑戦と将来展望:おもに食品ロス削減の観点から

荻原 素宏、 神原 稔、 石井 利幸
株式会社セブン&アイ・ホールディングス グループ商品戦略本部 調達戦略部

 7&iグループは、環境問題やSDGs、持続可能性向上への貢献に向け、グループ商品戦略本部を中心に、グループシナジーを最大化し、取引先やお客様と一緒に、抜本的・構造的改革を進めている。本稿では、食品ロス削減に関する改革を主に紹介するとともに、今後ありたい姿として①セブンプレミアムをSDGsやエシカルを象徴するブランドにすること、②多くのお客様接点を通じ、日本でのエシカルな行動・消費の定着に貢献することについて述べる。

キーワード: 持続可能性、食品ロス、SDGs、エシカル、セブンプレミアム
生協の食品廃棄物・食品ロス削減の取り組み

前田 昌宏
日本生活協同組合連合会 組織推進本部 社会・地域活動推進部
サステナビリティ推進グループ

 生協は、かねてより環境問題に危機意識を抱き、根源的な課題と位置づけて取り組んできました。現在は、食品廃棄物・食品ロス問題について、「2020年に向けた生協の新たな環境政策」に基づき、商慣習の見直し、リサイクル・ループの構築、フードバンクの活動などについて、組合員とともに学び、実践を重ねながら取り組んでいます。本稿では、現在の全国の生協の取り組みや、今後、生協の取り組む方向性について紹介していきます。

キーワード: 生活協同組合、組合員、SDGs、リサイクル・ループ、フードバンク
食品ロス削減に向けて自治体が取り組むべきことの検討:商慣習見直しを中心に

石川 友博
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 自治体の食品ロス削減の政策進展が期待されている。実効性のある政策展開のため、発生実態の定量把握の充実が望まれる。企業による消費者啓発を促進し、食品ロス削減、企業イメージ向上、家計負担軽減といった好循環の形成も重要である。食品ロスの一因に商慣習があり、個社では解決が難しい。商慣習見直しを経営トップ検討マターに引き上げることや、商慣習見直し先行企業が不利益を被らない環境整備を図ることなどにより、自治体主導の商慣習見直しの広がりにも期待したい。

キーワード: 食品ロス削減、自治体、食品ロス実態調査、企業による消費者啓発の促進、商慣習見直し
コロナ禍のもとでの食品ロス削減-フードシェアリングの取り組みに注目して-

渡辺 達朗
公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学商学部長・教授

 2019年10月、食品ロス削減推進法が施行され、国や自治体における食品ロス削減の取り組みがいよいよ本格化しようという矢先に、新型コロナウィルス感染症の災禍が世界を襲った。コロナ禍によって、サプライチェーンや家庭における食品ロスの発生状況は大きく影響を受け、削減の取り組みも変化を迫られた。ここでは、それらのうちサプライチェーンにおける、フードシェアリングの考え方に基づくマッチングビジネスに焦点を合わせて検討し、そうした新たなビジネスモデル展開の背景にどのような要因が影響しているのかを明らかにした。

キーワード: 食品ロス削減推進法、コロナ禍、サプライチェーン、未利用食品、余剰食品

視点

新型コロナ禍で加速するプロセス・イノベーション

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学大学院 戦略経営研究科 教授

論文

激変する世界においてリアル店舗ビジネスで勝ち抜くための位置情報を活用したData Informed思考

加部東 大悟
株式会社ギックス Enabling事業本部 ディレクター

研究ノート

事例研究:食品卸売業の経営戦略革新2020

今泉 文男
一般財団法人食料農商交流協会 顧問

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No.545 | Vol.52 No.2(2020年7月発行)

特集 流通視点でみる農業の未来

特集にあたって

折笠 俊輔
公益財団法人流通経済研究所 主席研究員(農業・地域振興担当)

農業構造の変化は日本のコメ生産にどのような影響をもたらすか

小針 美和
株式会社農林中金総合研究所 主任研究員

 本稿では、コメの品種選択と作付品種構成の関係を事例に、農業構造の変化と農業者の経営判断がマクロのコメ生産に与える影響に関する実証分析を試みた。実証分析の結果、①12年から17年の5年間で小規模農家の離農と担い手農業者への農地集積が進展したが、離農した農家の多くは主要品種を1つだけ栽培していた一方で、農地を引き受けた担い手農業者は作付品種数を増加させていること、②作付品種数は、機械・労働力の稼働率向上のための作期分散、多様化する販売への対応により、経営規模に応じて増加する傾向があること、③その結果、2017年の作付品種構成は2012年に比べて多様化したことが示された。

キーワード: 品種選択、経営判断、農業構造の変化、作期分散、販売戦略
農産物契約取引における成功要因の分析
―食品製造業者へのアンケート調査から―

石橋 敬介
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 近年、農産物の流通において、契約による取引が広がっている。本研究は、この契約取引について食品製造業者にアンケート調査を行い、その成功に関わる要因を分析するものである。例えば、契約が遵守されていることや、書面を交わして契約していることは、食品製造業者の満足度に関係している。また、品質面での満足度には生産者や集出荷団体との情報交換頻度が関わっていることや、大豆の定時・定量調達には中間流通業者を介した契約が効果的であることなどが示された。これらの結果は、生産者や集出荷団体、食品製造業者等が、その目的に合わせて契約内容を検討する際に有用なものである。

キーワード: 農産物流通、契約取引、満足度、スパース推定、エラスティックネット
北米における小麦の輸送手段の現状と日本における北米からの小麦輸入の展望

佐々木 舞香
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 日本は穀物の多くを海外から輸入しているが、中でも北米の米国・カナダが主要な輸入国である。また、北米から輸入している穀物のうち小麦は、米国・カナダ両国ともに輸入割合が大きい。そこで本稿では小麦に焦点を当て、北米における輸送手段について輸送段階ごとにその詳細を確認し、北米の小麦輸送の現状とともに特徴を把握する。その上で、北米の小麦輸送に見られる傾向がもたらす影響を考察し、日本における北米からの小麦輸入を展望する。

キーワード: 北米、穀物、小麦、輸入、インターモーダル輸送
産地市場における農産物物流の課題と提言
-農産物の共同物流実証実験から-

吉間 めぐみ
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 産地市場にて農産物の共同物流の実証実験を実施した結果、トラック台数を減らせることができ、コスト削減効果があることがわかった。ただし、コスト削減効果が発揮される条件として、配送総時間の減少と積載率の向上が求められることが判明した。そのうえで、今後、農産物における物流効率化を目指した共同物流を全国に拡大していくためには、①適切なマッチング、②情報共有、③資材の規格統一、④フレキシビリティの把握と共有が必要となる。

キーワード: 農産物の共同物流、産地市場、物流効率化、配送総時間、積載率向上

視点

コロナ禍のもとでの消費と流通

渡辺 達朗
公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学商学部長・教授

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No.544 | Vol.52 No.1(2020年5月発行)

特集 流通における人材育成

特集にあたって

祝 辰也
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員/教育・研修事業担当

消費財営業部門における人材育成の課題と弊所の教育事業の方向性

祝 辰也
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員/教育・研修事業担当

 1980年代における棚割システムの登場と普及、小売業によるPOSデータ開示・MD研究会型取り組みの広がり、ID-POSデータ活用・開示の広がりは、営業の推進機能としての「提案営業」の普及と求められる内容の高度化につながった。これに伴い、提案営業を推進する人材の育成もOJTを含め自社内だけでの完結が難しくなり、外部機関による研修への参加や外部機関への研修委託のニーズが高くなってきた。この傾向は流通経済研究所が提供する公開講座における個別研修の受講者や委託企業の増加からもうかがうことができる。こうしたニーズをふまえ、流通経済研究所が公益財団法人として今後より広く、より効果的な教育研修サービスを提供していくための方向性について考察する。

キーワード: 提案営業、人材育成、新入社員研修、流通ビジネススクール、Web配信研修
メーカーおよび卸売業による「小売業向け営業担当者」育成の現状と課題

加藤 弘之
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 流通経済研究所では、消費財メーカーおよび卸売業を対象に、小売業向け営業提案活動担当者の人材育成活動の実施内容、実施形式、効果に対する評価、および課題点についてのアンケート調査を実施した。調査結果からは、近年の小売業に対する営業提案内容が多様化したことを反映し、とくにメーカーにおいて人材育成の目的が多様化している傾向が読み取れた。一方で卸売業では、商談交渉術の向上を人材育成の目的に挙げる割合が高かった。
 人材育成を実施する効果については、データ分析や棚割提案といった、分析ソフトウェアが活用されている分野の評価が高い。一方、市場トレンド分析などの分野で、自社外からの情報収集について課題を感じていることに加え、人材育成が資格取得や昇進制度と連動しない点や、継続性や受講者の意欲の低さを課題とする点については、今後の人材育成を進める上での改善点であると考えられる。

キーワード: 流通業、小売業向け営業提案活動、人材育成、教育講座、OJT
これからの営業に必要な能力、資質と育成方法~「仮説検証型営業」と
「企画提案型営業」に向けて~

太田 昌宏
公益財団法人日本生産性本部 主席経営コンサルタント

 本稿は、これからの営業のあるべき姿として、「仮説検証型営業」と「企画提案型営業」を提案し、それらの営業スタイルに必要な能力として、観察力、想像力、気づき力、論理力、振り返り力、コミュニケーション力の6つを挙げた。さらに、望まれる資質を2つに分けて論じた。一方は、基盤となる基本資質で、人間好き、強い好奇心、身軽、素直を挙げた。他方、特に営業職に望まれる資質として、プロ意識、前向き、粘り、自社商品への愛を述べた。最後に、筆者のコンサルティング経験を基に、2つの営業スタイルの身につけ方を紹介した。

キーワード: 仮説検証、企画提案、気づき力、人間好き、プロ意識
スーパーマーケット業界の人材育成における課題と対応について

宮﨑 裕隆
オール日本スーパーマーケット協会 教育事業部 マネジャー

 生鮮食品、惣菜をはじめ食品を主に品揃えするスーパーマーケットにおける人材育成は、調理・加工作業、商品運搬・補充作業など現場の作業を対象に、OJTで行われてきた。その重要性は今後も変わることはないが、人員確保難をはじめとした環境の変化により、OJTの担い手不足、指導力の低下に直面し、店舗で人材育成のすべてを支えることが難しい状況である。人材育成上の課題の詳細を説明するとともに、業界としての今後の人材育成の在り方について、解説する。

キーワード: 人員確保難、多能工化、教育サポート、OJT、実践的コミュニケーション教育
英国小売企業における「職務給」の賃金制度と人材育成:
日英比較の視点から

佐野 嘉秀
法政大学 経営学部 教授

 本稿では、英国の小売企業で一般的なレンジレートの「職務給」の賃金制度の特徴を確認する。そのうえで日本との比較の視点から、英国の小売企業における「職務給」の賃金制度と仕事配分、人材育成との関係を明らかにする。「職務給」の賃金制度のもとでは、雇用者に対して「職務」に応じた仕事配分が行われる。これに対応して、売場での人材育成は、「職務」内の仕事遂行のための技能形成を基本とする。加えて、昇進意思のある雇用者に限定して、上位の「職務」への昇進に向けた人材育成上の支援を行う。このように「職務給」の賃金制度と人材育成の慣行のあいだには整合的な対応関係が見られる。これを踏まえ、日本の文脈での実践的な含意を示す。

キーワード: 英国、小売企業、職務給、仕事配分、人材育成

視点

デジタル・トランスフォーメーション×オムニチャネル

近藤 公彦
小樽商科大学 副学長/大学院 商学研究科 教授

資料紹介

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No.543 | Vol.51 No.6(2020年3月発行)

特集 2020年代の物流・ロジスティクス変革

特集にあたって

加藤 弘貴
公益財団法人流通経済研究所 専務理事

トラック運送事業に関する施策の動向

伊地知 英己
国土交通省 自動車局貨物課長

 「物流クライシス」なる言葉が随所で見られるが、その実は「安い物流」に慣れた荷主による不満である。しかしながら「安い物流」はトラックドライバーによる低賃金長時間労働という犠牲のもとで維持されてきたに過ぎない。行政の施策の方向性としては、荷主とトラック運送事業との間での取引を適正化して適正な対価が支払われ、トラックドライバーの賃金を上げることができるような環境整備を行うこととなる。そのためにこれまでも様々な施策を行ってきたが、まだ十分浸透しているとは言いがたい。改正貨物自動車運送事業法の施行を含め、今後もトラック運送事業と荷主との協力を得つつ施策を行っていく。

キーワード: 安い物流、持続可能なトラック運送事業、トラックドライバー、荷主、適正な対価
2020年代の物流・ロジスティクス改革

矢野 裕児
流通経済大学 流通情報学部 教授/ロジスティクス・イノベーション推進センター長

 物流危機への対応として、物流が抱える低い生産性をいかに向上させるかという視点が欠かせない。商慣行などによる物流条件が物流の生産性を無視したものとなっており、今後、発荷主、着荷主、物流事業者の連携による見直しが欠かせない。IoT、AI等の新技術導入により、物流現場は大きく変革する。同時に、サプライチェーン全体で、情報を収集、蓄積、AIを利用して分析することによって、次に起こるであろうことを予測し、計画的に実施する「先を読んだロジスティクス」に転換することが重要である。

キーワード: 物流危機、企業間連携、新技術、全体最適、標準化
フィジカルインターネットで究極のオープンな共同配送を実現:
Society5.0時代の物流に構造改革する

荒木 勉
東京理科大学 経営学部 教授/一般社団法人ヤマトグループ総合研究所 専務理事

 最近の物流現場では、消費者ニーズの多様化が拡大した影響で、多品種・少量・多頻度化が進み、小口化、トラックの積載率の低下が顕在化している。さらに、ドライバー不足、働き方が社会問題化している。コンビニや宅配便などのビジネスモデルが誕生して40年を経過し、ネット通販対応のビジネスモデルに変革する必要があり、それに合わせて物流の構造改革が求められている。フィジカルインターネットがこれからの日本の物流の主体となる。フィジカルインターネットを構築するには、トレーやカゴ車など荷姿の標準化、伝票の標準化・電子化といった国家レベルで推進する必要がある。併せて、物流センターやトラックの空き状況、荷量などのデータ基盤の構築が必要である。

キーワード: 小口化、積載率、共同配送、フィジカルインターネット、標準化
サプライチェーンの効率性と正当性に関する試験的考察:
加工食品卸売業者におけるトラック予約受付システムの導入を例に

木島 豊希
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/関東学院大学 専任講師

 本稿は、サプライチェーンの効率性と正当性について、加工食品卸売業者におけるトラック予約受付システムの導入事例を、制度理論を用いたSCM(Supply Chain Management)に関する既存研究の考え方に当てはめて、試験的に考察した。行政の強制的圧力と業界団体から生じる規範的圧力によって、当該システムを利用した仕入先との統合が推進され、効率性の向上と正当性の獲得につながるという考えを示した。

キーワード: 加工食品卸売業、納品待機時間、トラック予約受付システム、サプライチェーンの統合、制度理論

視点

リキッド消費と手続きの容易さ

久保田 進彦
青山学院大学 経営学部 教授

研究ノート

大消費都市「江戸」の物流と水運ネットワーク:東廻り海運と利根川系水運

鍋田 英彦
新潟産業大学 名誉教授

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No.542 | Vol.51 No.5(2020年1月発行)

新春対談

2020年からの流通業の経営革新

青山 繁弘
公益財団法人流通経済研究所 理事長

上原 征彦
公益財団法人流通経済研究所 理事・名誉会長/
株式会社コムテック22 代表取締役

特集 SNSの“ネタ”は本当に“売り”につながるのか?

特集にあたって

寺本 高
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/横浜国立大学大学院 准教授

店内撮影解禁の是非:中国ニューリテールから考える

鶴見 裕之
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/横浜国立大学大学院 准教授

 ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ダイソー、コープさっぽろが来店客による店内撮影を解禁した。いずれも小売業界に強い影響力を持つ先進的企業である。この流れは他の小売業にも今後拡大するものと思われるが、従来、撮影禁止は流通業界の常識とされてきた。しかし、中国深センの流通関係者は「中国では大半の店舗で撮影しても、まず問題になることはない」という。現地でのヒアリング結果を分析したところ、撮影解禁の理由はオンラインとオフラインの融合、代理購買の促進、SNS上での発信促進であることが分かった。それらを踏まえて我が国の状況を分析したところ、日本においても店内撮影解禁を検討すべきであるとの結論に達した。

キーワード: 店内撮影解禁、中国、ニューリテール、盒馬鮮生、SNS
調査用のSNS内の発言と購買行動の事例分析

三坂 昇司
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 本稿では、SNSが購買行動につながっているかを、調査として実施したSNSにおける参加者の投稿内容や返信内容とレシートによる購買履歴データから事例的に確認した。事例より、SNSで来店・購買につなげるには、「購買場所が明確であること」、「新奇性ある情報であること」などがポイントとして挙げられる。一方、SNS内での「買いたい」「試してみたい」は調査協力者のレシートより必ずしも来店・購買につながっていない事実も見られた。

キーワード: 調査SNS、レシート収集、投稿、来店、購買
スーパーマーケットに関する話題と来店

寺本 高
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/横浜国立大学大学院 准教授

 本稿では、調査用のSNSを構築し、その中でスーパーマーケットについて話題を挙げ、その交流が果たして来店につながるのかどうかについて示した。具体的には、「安いスーパーについて語ろう」というお題を提示したグループと「コスパの良いスーパーについて語ろう」と提示したグループに分けてそれぞれ別のSNSで交流してもらい、そこでの交流履歴と対象店舗の購買履歴を組み合わせたデータを分析した。その結果、自然発生的なSNSの中ではなかなか話題に上らないスーパーマーケットであっても、話題喚起の工夫次第では盛り上がり、その結果として来店行動につながることがわかった。

キーワード: SNS、話題喚起、来店行動、オーケー、業務スーパー
生活者コミュニティが、購買に与える影響について考察する

大木 真吾
株式会社博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部 エグゼクティブデータ
マーケティングディレクター

 情報過多の時代、生活者コミュニティから発信される情報はますます重要になっている。そのために、既存のお客様の理解と良質な声が集まる源泉としての「場」の構築が求められる。声を集めるための制度設計もポイントとなる。さらには、内部から外部のコミュニティへと拡散をさせることが量的な体験では重要で、「外につぶやきやすい」素材や体験の提供も施策設計では留意したいポイントだ。会員制度のアクティビティとNPSや購買意向は相関関係が認められる。故にいかにして、量的な底上げを図りうる活動につなげられるかが重要であろう。

キーワード: 生活者コミュニティ、良質な声があつまる「場」、外にも「つぶやき」たくなる、コミュニティとNPS、顧客理解

リーダーの戦略

株式会社トライアルホールディングス 取締役副会長・グループCIO/
株式会社Retail AI 取締役会長
西川晋二氏
サントリー酒類株式会社 営業推進本部 部長/
リテールAI推進チーム シニアリーダー
中村直人氏

「小売業のデジタライゼーションを小売とメーカーの協業で推進する」
インタビューとコメント
中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事
中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール) 教授

リーダーの戦略

サツドラホールディングス株式会社 代表取締役社長
富山浩樹氏

「デジタル化を手段に顧客との関係を強化する」
インタビューとコメント
中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事
中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール) 教授

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