出版・情報サービス

流通情報バックナンバー 2019年

No.541 | Vol.51 No.4(2019年11月発行)

特集 コンビニ業界の現状とこれから

特集にあたって

根本 重之
公益財団法人流通経済研究所 理事/拓殖大学 名誉教授

消費者の需要動向から見たコンビニエンスストアの将来性:全国消費実態調査結果を踏まえて

山﨑 泰弘
公益財団法人流通経済研究所 理事

 コンビニエンスストア(以下CVS)業界の成長を消費者の需要側から考えるために、全国消費実態調査の1999年から2014年までの4期間の調査結果を用いて家計におけるCVSの位置づけとその変化を分析した。
 その結果、消費者のCVSでの食料購入額を増やすことができれば、今後もCVSの市場規模は拡大し、店舗数を増やすことができると結論づけた。また、ディスカウントで食品販売を強化するドラッグストアとは競合せず、スーパーマーケットからドラッグストアへ食料の購入をシフトする消費者の補完的な購買先として成長できる可能性も示唆された。成長の余地が大きく獲得すべきは高齢世帯の需要であるが、強みとしていた若年男性の単身世帯では、購入シェアの低下という課題も見られた。

キーワード: コンビニエンスストア、消費者の業態使い分け、消費者セグメント、店舗密度、全国消費実態調査
大手コンビニエンスストアの決算データによる現状と今後の成長性に関する検討

後藤 亜希子
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 コンビニエンスストアは店舗数増による成長に急ブレーキがかかった。今後もこれまでのようなペースでの店舗純増は見込みにくく、既存店の強化がメインの課題となる。CVS各社が19年度は既存店投資に重点を置くとしており、それが加盟店の収益を増やすことにつなげられるか注目しておきたい。人件費、光熱費の上昇は当面続くと見られ、CVS本部は時短営業や消費期限の迫った商品の値引き販売なども本格的に検討する必要がある。

キーワード: 上位集中、客数の落ち込み、日販の格差、既存店支援投資、複数店経営
コンビニ業界の現状と未来

並木 雄二
法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授

 コンビニエンスストア(以下コンビニ)の提供する「便利さ」は空間価値、時間価値、商品価値に大別され、これらは単独ではなく、組み合わされて意味を持つ。その中でも商品価値、特に品切れは顧客不満足に結びつく重要な項目になる。時間短縮については総合的な価値を見極める必要がある。今後、コンビニは各種のテクノロジーを取り入れ効率化を進めていくが「商い」本来のヒューマン的な側面も見直す必要がある。フランチャイズシステムはそこに参加する人たちの共通の想いを実現していくものであり、お互いのコミュニケーションが大切だ。

キーワード: コンビニエンス・バリュー、フランチャイズシステム、イノベーション、CSポートフォリオ分析、コンビニの未来像
コンビニエンスストアの「人手不足」と経営

土屋 直樹
武蔵大学 経済学部 教授

 コンビニの「人手不足」が深刻化し、社会インフラとしての持続可能性が懸念されている。それは、他職種より条件が悪く、低い賃金水準でスタッフを雇用せざるを得ない厳しい経営の実態から生じている。近年その厳しさは、売上げが増えないなか、最低賃金の引き上げが続いてきて、さらに増している。廃棄費用の負担も重い。そして24時間営業やサービス拡大についての、加盟者の不満が顕在化しはじめ、本部との「共存共栄」が難しくなりつつある。時短営業の選択制など加盟者の裁量拡大、利益分配の仕組み自体の見直し等も検討する必要があるだろう。

キーワード: 人手不足、最低賃金、24時間営業、廃棄ロス、社会インフラ
日系コンビニエンスストアの海外展開:中国での展開を中心に

神谷 渉
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/玉川大学 経営学部 准教授

 日系コンビニエンスストアは、海外展開を着実に拡大している。「日経MJ」の第40回コンビニエンスストア調査では、2018年度の上位4社の海外店舗数は5万9626店舗となり、前年度比6.6%増であった。中国は、日系上位4社のすべてが出店を行っている国であり、日系コンビニエンストアの展開は順調で成長率も高い。現地のコンビニエンスストアも出店を拡大しているものの、収益性などに課題があり今後は再編なども予想される。日系コンビニエンスストアが、中国で現在好調なのは、進出形態や品揃えなどの試行錯誤を重ねてきたことが大きい。成功のパターンを分析すると、現地での展開ステージによって進出形態の使い分けを行っていることや、品揃えやマーケティング面では日本の資産を活用していることが示唆された。

キーワード: 日系コンビニエンスストアの海外展開、中国のコンビニエンスストア、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン

視点

クラウドソーシング:デジタル社会の製品開発

西川 英彦
法政大学 経営学部 教授

論文

サービス業における支払意思価格の向上を目指して:宿泊業・飲食業を中心として

池尾 恭一
慶應義塾大学 名誉教授/明治学院大学 経済学部 教授

資料紹介

海外の流通&マーケティング

流通データ

  • 主要経済指標
  • スーパーマーケット販売統計
  • 主要家計指標
  • コンビニエンスストア販売統計
  • 百貨店統計
  • ドラッグストア販売統計
  • 日本チェーンストア協会販売統計
  • 家電量販店販売統計
  • ホームセンター販売統計
  • 研究会・セミナーより
  • 新着図書情報
No.540 | Vol.51 No.3(2019年9月発行)

特集 食品輸出に向けた新しい取り組み

特集にあたって

折笠 俊輔
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

2019年農林水産物・食品の輸出目標達成に向けての取り組み

中 裕伸
独立行政法人日本貿易振興機構 農林水産・食品部長

 わが国では、農林水産物・食品の輸出額を2019年までに1兆円とする目標を掲げ、その達成に向け官民を挙げての取り組みが進められている。独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)では輸出事業者を支援するため、商談機会の提供、事業者の事情に応じた個別支援、先進的な取り組みに対する支援、海外ECサイトでの販売支援、そして日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)と連携した海外市場へのプロモーション活動支援等を行っている。いずれも2019年の1兆円目標達成を目指しその効果の最大化を図っているが、今後はその先の輸出拡大も視野に入れていくことが求められる。

キーワード: 農林水産物・食品輸出、日本貿易振興機構(ジェトロ)、輸出支援、ジャパンモール事業、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)
わが国の農林水産物・食品輸出に求められるマーケティング戦略

加藤 弘之
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 わが国では2010年代から農林水産物・食品の輸出拡大への取り組みが本格化し、政府等による支援策や海外における「和食」ブームの高まりにより、2018年には9,000億円超の輸出額となっている。結果的に多くの農林水産物・食品生産者が海外市場を目指すようになった反面、海外販路の獲得や継続的な販売に苦労している生産者も多い。本稿では、マーケティング理論をもとに、農林水産物・食品輸出に求められるポイントを説明する。

キーワード: 農林水産物、食品、海外輸出、マーケティング戦略、マーケティング理論
食品輸出に向けたブランディングのポイント

折笠 俊輔
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 本稿では、食品輸出におけるブランディングの重要性について、差別化の視点などから整理したのち、ブランディングの基本的な考え方について、ブランドの基本機能とその目的から事例を踏まえて確認した。輸出におけるブランド・コミュニケーションについては良いイメージを強く印象づけること、そのために一貫したブランド接触がなされることが重要である。

キーワード: 食品輸出、ブランディング、地域ブランド、ブランド要素、ブランド・コミュニケーション
国産農産物輸出における実務的課題と今後の対策の方向性

流通経済研究所農産物流通イノベーション研究班

 本稿では、農産物輸出における実務的な課題を整理し、対策の方向性として、産地側の輸出への理解度を高め、戦略的に輸出を考えること、輸出に携わるステークホルダーにおける縦と横のデータ連携を推進すること、生産から輸送までの幅広い分野での技術革新が必要なことを提起した。

キーワード: 食品輸出、農産物流通、国内物流、鮮度維持、データ連携

特別企画

対談「ネットワーク経営と流通のこれから」

コスモス・ベリーズ株式会社 代表取締役会長 三浦一光氏
(公財)流通経済研究所 理事・名誉会長/株式会社コムテック22 代表取締役 上原征彦

 本号では特別企画として、コスモス・ベリーズ株式会社代表取締役会長の三浦一光氏と弊所理事の上原征彦名誉会長の対談を掲載いたします。上原が問題意識を提示し、三浦氏がコスモスベリーズでのビジネスシステムがどのようにつくられてきたのかを解説するかたちで、「ネットワーク経営と流通のこれから」のあり方について検討します。
(聞き手:流通経済研究所 理事・名誉会長/株式会社コムテック22 代表取締役 上原征彦)

視点

流通とのタッチポイントの変化

渡辺 達朗
公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学商学部長・教授

資料紹介

海外の流通&マーケティング

流通データ

  • 主要経済指標
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No.539 | Vol.51 No.2(2019年7月発行)

視点

サブスクリプション・ビジネスが問う「所有」の価値

為廣 吉弘
愛知大学 経営学部 教授

特集 カスタマー・ジャーニー

特集にあたって

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事
中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授

カスタマー・ジャーニー:SNSとID-POSの結合による把握の試み

中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事
中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授

村上 雅洋
クックパッド株式会社

堀合 洋介
株式会社いなげや

スーパーマーケットのスマホアプリ活用に向けた考察
~スマートフォン利用に関する消費者調査~

山﨑 泰弘
公益財団法人流通経済研究所 理事

 本稿は、スマートフォンの基本的な利用とスーパーマーケットのスマホアプリの利用に関する消費者調査結果を分析し、スーパーマーケットのデジタル化のツールとしてのスマホアプリの役割や活用に向けた課題を考察した。その結果、スマホアプリ利用者の買物満足度が高いことが確認されたことから、スマホアプリの利用を通じた顧客ロイヤル化の推進につながる示唆が得られた。しかし、スマホアプリ利用者は、従来の客層が中心であり、若年層を取り込むためには、従来の折込チラシとは異なる情報コンテンツや機能などの開発が今後の課題と考えられる。

キーワード: スマホアプリ、スーパーマーケット、SNS、顧客接点、ワン・トゥ・ワン・マーケティング
デジタル時代の顧客体験
ニューリテールがもたらすショッパー・マーケティングの進化と優れた場の設計
~株式会社トライアルカンパニー~

奥谷 孝司
一橋大学大学院 商学研究科 博士後期課程/株式会社顧客時間 共同CEO

岩井 琢磨
株式会社顧客時間 代表取締役 共同CEO

 本稿はジャック・マーが提唱したニューリテールを国内で推進するトライアルカンパニーの事例を通して、デジタル時代の顧客体験の理解、ショッパー・マーケティングの進化と展望を考察する。リテールテクノロジーがもたらす「購買に至る経路」(Path to Purchase)の可視化と店舗のメディア化がもたらすショッパー行動、企業とショッパーの関係性の変化を理解することで、デジタル時代の買物価値に関する学術的示唆を提示する。

キーワード: モバイル・ショッパー・マーケティング、ショッパー・マーケティング、インストアメディア、AI、顧客経験
デジタル化はカスタマー・ジャーニーをどう変えたのか

堀内 健后
トレジャーデータ株式会社 マーケティングディレクター

 デジタル化が進んだ現代社会で、カスタマー・ジャーニーが変容している。購買行動モデルとして有名なAISASが示す「シェア(Share)」はいまや購入以前のプロセスでも発生しており、デジタル上における顧客接点のすべてを計測することもできるようになった。データ解析は何を可能にし、どんな変化をもたらすのか。顧客データプラットフォームの活用によって新しいカスタマー・ジャーニーを実現している事例(PARCO、SUBARU、無印良品)を紹介し、デジタル化以降のカスタマー・ジャーニーが、どのようにマーケティング施策に展開されているのかを検討する。

キーワード: データ、購買行動、シェア、デジタルトランスフォーメーション、CDP

寄稿論文

戦前の百貨店問題と百貨店法(下)

石原 武政
公益財団法人流通経済研究所 顧問
大阪市立大学 名誉教授

連載ショッパーへのマーケティング考

ショッパーへのマーケティング考【第13回】
広がる買い物困難地域と「店を支えようとする気持ち」

流通経済研究所ショッパー・マーケティング研究会

新刊紹介

寺本高『スーパーマーケットのブランド論』

鈴木 雄高
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

資料紹介

海外の流通&マーケティング

流通データ

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No.538 | Vol.51 No.1(2019年5月7日発行)

視点

悩ましい想像と厳しい予測

根本 重之
公益財団法人流通経済研究所 理事/拓殖大学 名誉教授

特集 「令和」時代の消費の主役

特集にあたって

鈴木 雄高
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

令和時代の消費者像~平成における消費者の変容とその課題~

久我 尚子
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員

 平成から令和へと元号が変わり、新しい時代が始まった。景気低迷が長らく続いた 平成時代 は、全体としては消費の盛り上がりに欠ける印象が強いだろう。しかし、家族の形や女性の生き方が変わることで、消費者が求めるものも変わり、活性化しだした市場もある。一方で、消費社会の成熟化と技術革新の恩恵を受けて育った今の若者は、合理的な消費者であり、所有から利用へと価値観が変容している。人口が減少する中で、今後、日本の消費市場は縮小へ向かう可能性が高い。しかし、平成における変化は未だ収束しておらず令和でも続くものが多い。 それらを丁寧に捉え、消費者が抱える課題を解決していくことで、新時代の消費が盛り上がる余地はある。

キーワード: 単身世帯、共働き、パワーカップル、若者、シェア経済
店舗小売業における新しい需要獲得施策
~令和時代の消費を担う若者に選ばれるために~

鈴木 雄高
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 平成後期に減少に転じた国内人口は、令和に入って更に減少する見込みであり、高齢化率は引き続き上昇するとみられる。消費市場において高齢者の存在感が高まる一方で、若者が注目されることは少ないのが実情である。しかし、店舗小売業が令和時代に発展するためには、これからの時代に消費の主役となる若い世代の支持を得ることが欠かせない。本稿では、店舗小売業が実践している若者対応施策や、必ずしも若者向けというわけではないが、若い世代の需要獲得に資すると考えられる取り組みの紹介を通じ、令和時代の消費を担う若い世代に選ばれる店舗になるための要点を探る。

キーワード: 若者、アプリ、情緒的価値、SNS、顧客体験
SDGsが後押しするエシカル消費

河口 真理子
株式会社大和総研 研究主幹

 気候変動による異常気象の被害、海洋プラスチックゴミ問題、途上国の奴隷労働問題、などの社会課題を解決し人類の持続可能性を高めるため、2015年に国連でSDGsが採択された。SDGsのゴール12は「持続可能な生産と消費」である。そのために期待されるのが、モノの値段や機能デザインに加えてその生産プロセスでの環境や社会影響を考慮するエシカル消費である。すでに、フェアトレードや省エネ商品、シェアエコノミーなどのエシカル消費に共感する消費者は3人に2人以上ともいわれる。社会課題解決をめざす社会的企業が手掛け注目され始めたエシカル消費だが、消費者の嗜好の変化、社会的責任の観点で大企業での取り組みも本格化しはじめ、今後の拡大が期待される。

キーワード: SDGs、持続可能な生産と消費、フェアトレード、エシカル、サプライチェーン

寄稿論文

戦前の百貨店問題と百貨店法(上)

石原 武政
公益財団法人流通経済研究所 顧問
大阪市立大学 名誉教授

査読論文

品揃え変更がカテゴリー購買生起に及ぼす影響の顧客間異質性

佐藤 栄作
千葉大学大学院 社会科学研究院 教授

資料紹介

海外の流通&マーケティング

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No.537 | Vol.50 No.6(2019年3月1日発行)

視点

他者の立場を想像する力

阿部 周造
横浜国立大学 名誉教授

特集 アメリカ流通における「アマゾン・ エフェクト」への対抗策を考える

特集にあたって

神谷 渉
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/玉川大学 准教授

Amazonの経営理念とその戦略

佐藤 将之
エバーグローイングパートナーズ株式会社 代表取締役

 アマゾンが急速に進めるリアル市場への進出、その背景にはどのような意図があるのか。今後の流通業の版図を変える可能性のあるアマゾンの戦略には「顧客満足の最大化」という意図が隠されていた。

キーワード: Amazon Go、Whole Foods Market、Amazon Books、Prime、AMZL
ウォルマートの戦略変化に見るアマゾンへの対抗策

神谷 渉
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/玉川大学 准教授

 ウォルマートは近年ネット販売のシェアでも存在感を示しており、店舗小売業としてネット販売の強化やデジタル化に取り組み成功しつつある好例と捉えられる。ウォルマートの戦略を紐解くと、アマゾンへの対抗策として店舗からデジタル分野への資源の再配分に加えて、店舗の役割の見直しや自社に関連するビジネス領域をエコシステムと捉えた包括的な発想や取り組みが必要であることが明らかとなった。

キーワード: ウォルマート、デジタル戦略、オムニチャネル、ラストワンマイル、EC
アマゾンに対抗する流通各社の最新動向

包山 慶見
公益財団法人流通経済研究所 北米地域リプレゼンタティブ
アジアマーケットブリッジ 代表

 アマゾン小売事業の「顧客の欲するありとあらゆるものを取り揃え、それを圧倒的なスピードで届ける」という現在の優位点が今後どれだけアマゾンのプラスで在り続けるのであろうか。一昔前に恐れられたウォルマート脅威が地方の小売業を壊滅させるには至らなかったのと同じく、アマゾンが一人勝ちになって他社の追従を許さないような状況にはならないであろうという仮説を持つ米国在住兼業主婦が、アマゾン・エフェクト最前線の米国で奮闘している企業や領域などを紹介する。

キーワード: アマゾン、EC型コンビニ、リアル店舗、ダラーストア、ハードディスカウンター

論文

外食国際化の新たな胎動:フランチャイジー「サンパーク」の国際戦略

李 素熙
関西学院大学 商学研究科 博士後期課程
川端 基夫
関西学院大学 商学部 教授

 本稿は、フランチャイジー(フランチャイズ加盟者)が新たな外食国際化の主体になる可能性を検討したものである。具体的には、積極的に海外展開を進めるメガ・フランチャイジーの「サンパーク」社に焦点をあて、同社が海外進出を行ったプロセスを解明することで、フランチャイジーが外食国際化にどのような形で寄与するのかを検討した。サンパークはまず独自ブランドで国際化を成功させ、次にそこで得られた海外での店舗運営ノウハウを強みとして、日本のフランチャイズ本部の海外加盟者になることで国際化を深化させてきた。このように、フランチャイジーの国際化は独自ブランドでの進出の成否がカギを握るため、その成功をもたらした6つの要因を同社の経験から導いた。

キーワード: フランチャイジー、国際化行動、店舗運営力、現地適応力、アジア

講座紹介

「流通ビジネススクール」のご案内

資料紹介

海外の流通&マーケティング

流通データ

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No.536 | Vol.50 No.5(2019年1月15日発行)

特別企画

最近の流通変化と小売業の経営課題

青山 繁弘
公益財団法人流通経済研究所 理事長

上原 征彦
公益財団法人 流通経済研究所 理事/
昭和女子大学現代ビジネス研究所 特命教授

特集 感覚マーケティング

特集にあたって

守口 剛 早稲田大学商学学術院 商学研究科 教授 公益財団法人流通経済研究所 評議員

処理の流暢性が消費者行動に及ぼす影響

西井 真祐子
早稲田大学商学学術院 助手・博士後期課程
守口 剛
早稲田大学商学学術院 商学研究科 教授
公益財団法人流通経済研究所 評議員

 近年、感覚マーケティングが消費者行動に及ぼす影響のメカニズムを説明する理論の一つとして、「処理の流暢性」が注目されている。処理の流暢性に関する研究は主に心理学の領域で発展してきたが、2000年代以降マーケティングと消費者行動の分野においても多くの論文が扱うようになっており、実務への応用可能性に対する期待も高まっている。本稿では、これまでの研究で展開されてきた処理の流暢性に関する議論を、主に店頭施策への展開を念頭に置いて紹介し、感覚マーケティングに関する知見との関係性を整理する。その上で、将来の研究上の課題と実務における応用の方途について検討する。

キーワード: 感覚マーケティング、処理の流暢性、広告、店頭マーケティング、オンライン・ショッピング・サイト
小売マーケティングにおける触覚要因の効果―身体化認知理論からの示唆-

外川 拓
千葉商科大学 商経学部 准教授

石井 裕明
成蹊大学 経済学部 准教授

朴 宰佑
武蔵大学 経済学部 教授

 店舗内で暖かさを感じたり、製品を手に取ったりするとき、消費者は皮膚感覚や運動感覚など、様々な触覚的情報を得る。近年の研究では、これらの触覚経験が、消費者の購買行動にどのような影響を及ぼすかについて、身体化認知理論を援用した議論が進められている。本稿では、同理論の概要や関連する先行研究を整理することで、小売マーケティングへの含意を考察した。こうした議論は、先行研究の体系的把握を容易にするだけでなく、小売マーケティングに対しても多くの実務的示唆を与えるものである。

キーワード: 小売マーケティング、顧客体験、身体化認知理論、皮膚感覚、運動感覚
感性データに基づく訴求は購買行動を促すか?

早坂 浩史
株式会社味香り戦略研究所 研究開発部 部長

 これまでは個人の主観で語られることが当たり前だった「味」だが、近年は機器分析を用いて強弱を数値化し、そのバランスまで客観的に表現されることが増えてきた。新商品、リニューアル商品や農作物や原料に至るまで、味の客観的表現が流通現場はもとより営業資料、POP、オウンドメディア等で活用されている。
 味香り戦略研究所では、味やにおい、食感や見た目などを科学的な手法で分析、評価を行い、商品開発、PR、品質管理などのサービスを提供している。今回はその中から、感覚、イメージに関する消費者調査結果と感性機器分析データを用いた販売促進、PRの手法やこれまでの具体的な事例を紹介する。

キーワード: 感覚マーケティング、感性分析機器、視覚情報、フードペアリング、個人の嗜好
百貨店におけるセンサリーマーケティング

松本 隆
早稲田大学 評議員/日本デザイン振興会 評議員/
株式会社そごう・西武 前代表取締役社長

 長い歴史を持つ百貨店、そのルーツを辿りながらセンサリーマーケティング発生の様子を探る。合理的な販売システムを構築しながらも、平行して「欲しくなる気持ちを擽る仕掛け(欲望喚起の装置)」が徐々に作り上げられていく。しかし、そのことは、視覚領域では深く実践されているものの、五感領域への広げ方が不足していると思う。いくつかの最近の事例を参照しながら、今後の百貨店センサリーマーケティング活用の方向性を模索する。

キーワード:センサリーパッケージ、アリスティッド・ブシコー、欲望喚起の装置、セブンプレミアム、ネットとリアル

論文

震災後におけるフード・サプライチェーンの再構築
―こだわり水産物の販路開拓―

加藤 司
大阪商業大学 総合経営学部 教授

連載ショッパーへのマーケティング考

ショッパーへのマーケティング考
【第12回】好調スーパーを支える経営のビジョン

流通経済研究所ショッパー・マーケティング研究会

資料紹介

海外の流通&マーケティング

流通データ

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