コラム

2012/1/30
成長するネット・ショッピング
矢野尚幸
財団法人流通経済研究所主任研究員
【図表1】 オンラインにおけるグロッサリー小売業の市場予測

 2011年10月にイギリスの流通研究機関IGD(The Institute of Grocery Distribution)が主催する、「Online Grocery Retailing 2011」に出席した。IGDによると、イギリスにおけるグロッサリー小売業のオンラインショッピング市場は、2010年の48億ポンド(約5,760億円)から2015年には99億ポンド(約1兆1,880億円)に成長することが予測されており(図表1)、オンラインチャネルの潜在的な成長性を明らかにするセミナーであった。

 セミナーでの報告によると、イギリスの各小売業は、顧客がオンラインショッピングをより利用しやすい環境整備に努めていることがわかった。たとえば、テスコは“クリック&コレクト”と呼ばれる、ドライブスルーで注文した商品を受け取ることができる集配場の整備に努めており、顧客はピックアップする時間を選択することができる。また、同社のホームページ上では、従来の「お気に入り(favorites)」というページではこれまで購買した商品が羅列していたにすぎなかったが、利用者自身の購買金額上位商品をピックアップした「Usuals」というページを作ることで、利用者のアクセス時間の短縮につなげている。

 メーカー側も、小売業との協業や自社商品のコミュニケーションにオンラインを利用している。Orabrushという口内クリーナーは、当初店舗で全く売れていなかったが、You Tubeを利用した商品訴求をしたところ、評判を呼び、今では世界各国で販売されている。また、ユニリーバでは、テスコのオンラインショッピング上で展開している「Real food」というサイトに同社商品を使用したレシピを紹介することで、トライアルを促す施策を採った。

【図表2】 日本の通信販売市場売上高

 日本でも今後同様の取り組みが進むであろう。社団法人日本通信販売協会の調査によると、2010年度の通信販売市場の売上高は4兆6,700億円であり、前年比8.4%増であるという(図表2)。その中でも特に需要が高まっているのが、オンライン(インターネット・モバイル)通販市場で、今後の拡大余地も大きいと見る。多くの小売業が近年、ネットスーパーのサービス開始や、拡充に努めていることも後押しになりそうだ。

 このような状況の中で、日本のメーカー・卸売業はどのような対応をとることが求められているだろうか。オンラインショッピングを展開する小売業にどのような商品政策を展開すればよいのかを考える一方、自社でオンラインショッピングを展開するかどうかも考慮しなければならない。また、オンラインを利用してどのようなコミュニケーションを行えばよいのかも考える必要がある。

 流通経済研究所では、2月22日(水)にメーカー・卸売業を対象とした、「ネット・ショッピングの成長とメーカーの対応戦略」を実施する予定である。小売業、メーカーの各担当者から成長戦略を講演いただくとともに、パネルディスカッションを通して、成長性をそれに対応すべき事項を明らかにする予定である。ネット・ショッピングの担当者は出席していただけると幸いである。

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